性能を保持したままで、建設コストの削減と工期短縮が可能な免震構法

拡頭杭免震構法

Base-isolated System by Expansion Head Piles

概要

免震構造は、耐震構造に比べ、大地震時における建物の損傷や揺れを大幅に低減できることは、広く認識されています。しかし、免震構造の中で一般的な基礎免震構造は、免震部材の上下に基礎梁を配置した免震ピットを設けるため、耐震構造と比べ、建設コストも高く、工期が長くなる傾向があります。

『拡頭杭免震構法』は、杭頭部の径を拡げた拡頭杭の頭部に直接免震部材を設置し、基礎免震構造における下部の基礎梁より薄い扁平な「つなぎ梁」で杭頭部を連結して免震層の一体化を図った基礎免震構法です。杭頭部を拡頭とすることで、杭頭に生じる回転角を抑制することが可能となります。また、基礎梁をつなぎ梁とすることで、基礎工事の簡略化が図れます(図-1 従来の基礎免震構法と拡頭杭免震構法との比較)。

従来の基礎免震構法と拡頭杭免震構法との比較

図-1 従来の基礎免震構法と拡頭杭免震構法との比較

特長

『拡頭杭免震構法』には、主に以下のような特長があります。

1) 基礎免震構造と同等の免震効果が得られます。
2) 建設コストの削減・工期短縮が図れます。
3) 建物の用途や構造形式、規模に制限はありません。
4) 杭頭部の拡頭径と長さを調整して、経済的で合理的な設計が可能です。
5) つなぎ梁と拡頭杭との接合形式はピンタイプと固定タイプから適切なものを選択することが可能です。
6) 天然ゴム系積層ゴム、高減衰系積層ゴム、鉛プラグ挿入型積層ゴム、弾性すべり支承、U字形鋼材ダンパーなど、様々な種類の免震部材から最適なものを選択することが可能です。
7) 時刻歴応答解析*1 を用いた設計が基本となりますが、告示免震*2 による設計も可能です。

*1 「時刻歴応答解析」とは、建物を現在得られている知見に基づき、質量、減衰、バネにモデル化し、大地震の際に観測された時刻歴加速度データなどを用いて、建物の応答値を予測する解析手法です。超高層建物、制振・免震建物の設計の際に用いられます。

*2 「告示免震」とは、平成12年建設省告示第2009号の第6に記載される方法です。この方法で免震建物を設計した場合には、性能評価を受ける必要がなく、確認申請のみとなります。ただし、告示免震を適用するためには、いくつかの条件に適合させる必要があります。

その他

関連論文

  • 地盤−杭−建物連成系一体解析モデルを用いた杭頭免震構造の地震応答解析(その1〜その10)日本建築学会学術講演梗概集、2015〜2016
  • 杭頭回転角を考慮した免震部材の構造性能(その1〜その4)
    日本建築学会学術講演梗概集、2016

関連特許

  • 特許第6328585号、特許第6708872号、特許第6721979号、特許第6924682号、特許第6924683号、特開2022-063906

評価表彰

構造性能評価:日本ERI(株) ERI-K15015、ERI-K15015-01

本工法は、青木あすなろ建設(株)、(株)安藤・ハザマ、東亜建設工業(株)、西松建設(株)、
(株)長谷工コーポレーションによる共同開発工法です。

ERI-K15015

(ERI-K15015)

ERI-K15015-01

(ERI-K15015-01)

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