DX(デジタルトランスフォーメーション)推進に向けて、社員のデジタルリテラシー向上に注力しています。今後は更なるDXの進展を目指し、図に示すロードマップをベースに活動を行います。
当社では、ARAV株式会社(本社:東京都文京区)が開発した重機の遠隔操縦・自動運転システムを、国内で初めて砂撒船のバックホウに適用し、海上工事における土砂投入作業に試験導入しました。このシステムにより、1名のオペレーターが2台のバックホウを操縦することができるため、オペレーターを1名削減できるだけでなく、オペレーターの習熟度に関係なく効率的な施工ができることが改めて検証されました。将来的な「重機の完全自動化」を実現するため、引き続き、実施工を通じて試験・検証を行い、より安全かつ効率的な作業環境の構築を目指していきます。
遠隔操縦/自動運転システムによる施工状況
当社はAI画像認識技術を用いて船舶を自動検知する機能を取り入れた船舶運航監視システム「COS-NAVI:Construction On the Sea NAVIgation system」を開発し、国土交通省が提供する新技術情報提供システム(NETIS)に登録されました(登録番号:KTK-240003-A)。本システムを港湾工事へ導入し、検証を行った結果、自船から500m以内の近距離において、90%を超える高い船舶検知率が得られることを確認しました。この技術により、海上作業の安全性と生産性が大幅に向上することが期待されています。
レーダーの苦手領域をAIで感知
BIM(Building Information Modeling)は、建設業界におけるデジタル変革の中核を担う技術です。当社ではBIMの導入を積極的に進めており、設計・施工・補修計画までの建設プロセス全体のデジタル一元管理を目指しています。また、ボーリングデータを活用し、BIMで基礎の深さ予測や干渉チェック、施工可能性の確認などを行い、施工の生産性向上にも役立てています。今後は建築物LCA(ライフサイクルアセスメント)制度への対応や全社的なDX推進へと活用範囲を広げ、さらなる効率化と品質向上に取り組んでいきます。
BIMによる断面詳細検討
当社グループは、AI技術の発展に伴い、これを活用した新たな事業価値の創出やイノベーションの促進を通じ、お客様や経済・社会の課題解決および持続的発展に貢献することを目指しています。
一方で、AIの不適切な利用により、情報の漏洩、偽情報の拡散、誤判断の誘発などのリスクがあることを認識し、これを防止するために、東亜建設工業グループ企業行動規範に基づき「AI活用ポリシー」を策定しました。本ポリシーのもと、AIを安心・安全に活用していきます。
「UNIRITAユーザ会」が主催する『第41回UNIRITAユーザシンポジウム』において、当社DX戦略部員の所属する研究グループが審査員特別賞を受賞しました。今回の研究は、「生成AIの新たな活用法」をテーマに、生成AIを“どう活用したら良いか分からない”という課題に対し、“育てるAI”という視点から1年間にわたり活動を行いました。この研究の独自性と実践的なアプローチが高く評価され、今回の表彰となりました。
左:岡山 健次(当社DX戦略部)、右:佐伯 寿雅子氏(UNIRITAユーザ会幹事)
DX戦略部では、社内各部署からの要請に応じてローコードプログラムによるアプリ開発支援を行っています。これは、業務の効率化とデジタル人材の育成を目的とし、社員が自らアプリ開発のスキルを身につけるよう支援するものです。また、開発成果の共有会を開催し、部署間の知見共有や社内のデジタル文化醸成、さらにアプリを開発する社員のモチベーション向上にも寄与しています。