波と砂れんの力が砂浜を創造する

DRIM(ドリム)工法

Distorted Ripple Mat Method

概要

近年、海岸侵食問題が全国的に深刻化しています。その対策工を整備するにあたっては、海岸の有効利用や環境保全への配慮が強く求められます。歪み砂れんマット(DRIM)を用いた漂砂制御工法は、そうしたニーズに対応することができる新しい海岸侵食対策工法です。
本工法は、海底にできる砂れんの形状をサインカーブで近似し、人工的に一方向へ歪ませた形のブロック(DRIM)を海底に敷設して、砂の移動方向を制御するものです。漂砂制御にはDRIM上で生じる渦により誘起される一方向底層流を利用しており、波の進行方向によらずDRIMの設置方向に応じて、漂砂の移動方向を任意に制御することができます。

  • DRIMの構成

    DRIMの構成

  • DRIMによる漂砂制御(提供:九州大学)

    DRIMによる漂砂制御(提供:九州大学)

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特長

1)周辺環境との高い調和:DRIMの形状は、対象とする海岸にできる砂れんを基に決められます。したがって、来襲する波の特性を大きく変化させることはなく、周辺環境によくなじみます。
2)景観および利用環境の保全:DRIMの高さは海底面から50cm程度であり、干潮時においても完全に没水しています。したがって、景観を損ねることはなく、船舶の航行やマリンレジャー等を制限するものではありません。
3)幅広い応用性:DRIMの一方向漂砂制御機能は、養浜砂の流出防止や沿岸漂砂制御等の海岸侵食対策だけでなく、航路埋没対策や河口埋没対策等にも幅広く応用できると考えられます。

室内レベルにおけるDRIMの漂砂制御機能は、九州大学における数多くの実験や数値計算を通じて十分に確認されています。また、現地レベルでの効果についても、平成16年から実施している実海域試験により実証されています。平成21年には鹿児島県の指宿海岸で、養浜砂の流出防止対策として施工されます。なお、本技術は東亜建設工業(株)、若築建設(株)、水工技研(株)の3社によるDRIM工法研究会が主体となり研究開発が実施されています。

養浜砂の流出防止イメージ

養浜砂の流出防止イメージ

航路埋没対策のイメージ

航路埋没対策のイメージ

実績

  • 新潟港海岸(西海岸地区)潜突堤・砂止堤築造工事

その他

関連論文

  • DRIM工法における最適な諸元の決定方法に関する水理模型実験

    投稿先:土木学会論文集B2(海岸工学)、Vol.68、No.2、2012
    発行元:土木学会 http://www.jsce.or.jp

  • 指宿港海岸における人工海浜の変形と養浜砂流出防止工の効果

    投稿先:土木学会論文集B2(海岸工学)、Vol.67、No.2、2011
    発行元:土木学会 http://www.jsce.or.jp

  • DRIMの耐波浪安定性と質量算定法に関する研究

    投稿先:土木学会論文集、第23巻、2007
    発行元:土木学会 http://www.jsce.or.jp

  • DRIMの実海域における試験施工と安定性

    投稿先:土木学会海洋開発論文集、第21巻、2005
    発行元:土木学会 http://www.jsce.or.jp

関連特許

  • 特許第5548522号

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