神奈川県中郡大磯町と小田原市を結ぶ西湘バイパスは、相模湾に面した海岸沿いを走る全長20.8kmの自動車専用道路です。2007年9月7日に関東地方を襲った台風9号の影響で、西湘バイパスは大磯西IC〜橘IC間の延長約1kmにわたって道路の擁壁が倒壊、一部では海側2車線の路体が崩落する甚大な被害が発生しました。
施工場所
工事概要
工事名: | 西湘バイパス災害応急復旧工事(その2) |
---|---|
発注者: | 中日本高速道路株式会社 横浜支社 |
施工場所: | 神奈川県中郡二宮町二宮 |
工期: | 2007年9月7日〜2008年8月31日 |
施工者: | 東亜建設工業株式会社(現場代理人:小岩武) |
被災前、現場付近は波打ち際まで30mに及ぶ砂浜が広がり、近隣住民の散歩コースや憩いの場として親しまれていました。台風9号の上陸時、相模湾沿岸を襲った波は海底地形の影響を受けて屈折し、約1qの被災区間へと集中しました。30mの砂浜は一気に消失して波に洗われた擁壁の下部から土砂が海へ流出、支えを失った擁壁が倒壊する事態となりました。
9月7日早朝、当社を含む数社が現地対策本部に召集され、被害の拡大防止と安全確保のため応急の復旧工事に着手しました。早急に資機材を調達し、被災した道路の前面に鋼矢板打設などの突貫工事を続けること約2週間。応急復旧に向けた関係者の奮闘により、9月27日午前11時、上り車線を用いた対面通行(2車線)の暫定開通へと漕ぎ着けました。
銀波橋〜金波橋に沿って海上に築造する工事用通路は、直ちに捨石の投入が始まりましたが、その沖側に据える消波ブロックは、テトラポッドの製作にかなりの日数が費やされます。季節は秋、波が高く海象条件の厳しい時期にあたり、11月中旬にブロックの据付が始まるまでは、容赦なく打ち寄せる荒波によって造ったばかりの通路が破壊され石材が流出する等の災難もありました。
捨石の投入と消波ブロック据付を行う海上工事は、当社が行なう橋脚工事はもちろん、他社が陸上で進めている道路の復旧工事を波浪から守る役割も担っています。9月中旬に着手した捨石の投入は12月末までに目処がつき、遅れて始まった消波ブロックの据付も急ピッチで進められ、当初の予定より2ヶ月早い4月上旬には全ての海上工事が終了しました。
海側に大きくカーブした銀波橋を支える橋脚4基のうち、1基は倒れた擁壁が直撃して破損したため、新たに2基を建設しました。他の1基は、砂浜の消失により基礎杭が露出している上、杭頭部だけでも複数のひび割れが発生していました。地震発生時など基礎杭の頭部には大きな力が作用するため、何も手を打たなければ橋脚が倒壊する恐れもあります。ひび割れを1本ずつ修復すると共に、杭頭部を頑丈にするため、杭周囲の厚みを増す等の補強工事を行いました。