既設の桟橋鋼管杭の杭頭部付近に腐食あなが生じた場合でも適用可能な補修技術

鋼板接着併用型タフリードPJ工法

Tough and Flexible Advanced Mortar Method for Pile Jacketing with combination of Reinforced Steel Plate

概要

桟橋杭頭部付近の鋼管杭は、海水作用や地震・船舶接岸による荷重作用等の影響により劣化や損傷を生じやすく、この部位で鋼管杭が著しく腐食した場合には桟橋の安全性に大きく影響するため、桟橋の供用停止や大掛かりな対策工事が必要となります。
本工法は、それら課題を解決する工法で、既設の桟橋鋼管杭の杭頭部付近に著しい腐食が生じている場合でも、桟橋上部工の撤去や大規模な構造変更を伴う工事をすることなく施設を供用しながら補修することができ、断面耐力を建設当初の耐力まで回復することができる補修技術です。
既存の鋼板を用いた鋼管杭の補修技術を改良し、杭頭部へのタフリード※による巻立てと補強鋼板の上端を杭頭プレート下面にすみ肉溶接を行うことにより、杭(補強鋼板)と上部工を接合します。タフリード巻立てと補強鋼板はシアキー(ずれ止め)により、タフリード巻立てと上部工はアンカーボルトにより、それぞれ定着させて一体化します。なお、タフリード巻立て部より下方の補強鋼板に対しては、既存技術と同様に、防食工を適用することができます。

※タフリードとは、高強度・高靭性・高耐久性を併せ持つ繊維補強モルタルで、以下の特長を有しています。
圧縮強度約80N/mm²、引張強度5N/mm²以上(材齢28日)
引張ひずみ硬化性・ひび割れ分散性(単位体積当たり1.5%の高強度ポリエチレン短繊維混入)
塩化物イオンの見かけの拡散係数0.012cm2/年程度
現場製造が可能

概要と施工フロー

本工法の概要

特長

施設を供用しながら補修可能

既設の桟橋鋼管杭の杭頭部付近に著しい腐食が生じている場合、これまでは桟橋上部工の撤去や大規模な構造変更を伴う工事が必要でした。本工法は、既存の鋼板を用いた補修を改良した技術であるため大規模な構造変更を伴うことなく、また、基本的に施工は桟橋下で行うため施設を供用しながら補修することが可能です。

断面耐力を建設当初の耐力まで回復可能

既設の桟橋鋼管杭の杭頭部付近に著しい腐食が生じている場合、既存の鋼板を用いた補修では補強鋼板上部の定着が確保できない(溶接長が確保できない)課題がありました。本工法は、タフリードによる巻立てと補強鋼板の上端を杭頭プレート下面にすみ肉溶接を行うことにより、補強鋼板上部の定着を確保します。これにより、杭頭部に発生する断面力に対して既設鋼管杭の耐力不足を補強鋼板により補うことができます。

実績

公共工事 1件、民間工事 1件

その他

■関連特許

特許第6860381号、特許第6666203号