気候変動への対応(脱炭素・カーボンニュートラル)は、世界的に取り組まなくてはならない喫緊の課題です。その中でも建設業は、セメントや鉄など製造時に多くの温室効果ガスを排出する材料を使用すること、施工段階で建設機械の稼働に多くの燃料を使用すること、建物の供用年数が長く供用中の温室効果ガス排出量に大きく影響を及ぼすことなどから、果たすべき役割は非常に重要であると考えています。
当社は、2021年度にScope1・2およびScope3削減のための、2030年を目指した温室効果ガス削減目標(WB2℃目標)を掲げました。2022年度からはカーボンニュートラルに向けた企画管理のための専門部署を設置し、さらなる推進に向けた取組みを開始しました。その後、2023年3月には、2050年までにScope1・2のネットゼロを目指すこととしました。そして、ネットゼロ目標の達成に向けて、長期ビジョン〈TOA2030〉実現に向けた前中期経営計画で定めた移行計画に沿って、Scope1・2の削減に積極的に取り組んできました。
2026年3月、当社は長期ビジョン〈TOA2030〉のありたい姿「社会を支え、人と世界をつなぎ、未来を創る」を堅持しつつ対象期間の見直しを実施した長期ビジョン〈TOA2035〉を定め、その実現に向けた中期経営計画の中で、Scope1・2の2030年削減目標を1.5℃目標(世界の気温上昇を産業革命前より1.5℃に抑える水準)に見直し※、またScope3を含むバリューチェーン全体で2050年ネットゼロを目指すこととしました。これに応じて、カーボンニュートラルを目指すロードマップを改定し、これまでの実績と今後の事業目標を踏まえて移行計画も見直しました。
これらの目標の達成に向けて、バリューチェーン全体と連携しつつ、温室効果ガス削減の取り組みを進めています。
なお、ロードマップと移行計画の内容は、毎年、見直しています。
※Scope1・2の2030年削減目標については、現在SBTの更新申請中です。
当社グループのカーボンニュートラルロードマップでは、対象をScope1+2とScope3に分けて、削減目標と主要な取組み方針を示しています。
Scope1・2については、2030年目標は1.5℃目標に整合させ、これまでの当社の削減実績も加味したうえで、2030年度までに44%削減(2020年度比)とし、2050年の長期目標ではネットゼロ(実質排出ゼロ)を目指しています。
当社が得意とする海洋土木工事では作業船を用いて施工する場合が多く、作業船は陸上工事で用いる建設機械よりも大型の機械設備(動力機関)を搭載しており、軽油やA重油を燃料として消費するため、多くのCO2を排出します。これまでの国内工事の実績では、海上土木工事の排出量は全体のおよそ3分の2を占めています。そこで、省エネ施工や生産性向上による現場作業の低炭素化に取り組むとともに、作業船から排出される CO2の削減に向けた取組みが非常に重要です。そのための方策の一つとして、2030年目標の達成に向けて低炭素燃料、特にバイオ燃料の活用に注力していきます。また、長期的には、水素などの次世代エネルギーやブルーカーボン・グリーンカーボンの創出といったネガティブエミッション技術の導入に向けて取組みも進めます。
一方、Scope3では、2030年目標はWB2℃目標として、2030年度までに25%削減(2020年度比)とし、2050年の長期目標ではネットゼロ(実質排出ゼロ)を目指しています。
当社グループのScope3は、使用材料の製造時の排出と建築物の供用中の排出が多くを占めるため、低炭素型資材の活用、低炭素型コンクリートの開発・活用、建築物のZEB/ZEH化などを推進していきます。
これらに戦略的に取り組むことで、脱炭素社会の実現に貢献するとともに、財務への負の影響を抑制し、また事業機会の最大化に努めていきます。
移行計画では、Scope1・2を対象に、当社グループが2050年ネットゼロ社会に移行していくための取組み計画を示しています。
2030年目標を達成しつつ、2050年のネットゼロを目指すため、省エネ施工・生産性向上、代替燃料(低炭素燃料)や次世代エネルギーの活用、カーボンオフセットの利用などを推進していきます。当社グループでは、これまでの削減実績および今後の事業量の増加による CO2排出増の見込みを踏まえて、具体的な取組み計画を検討しています。とくにバイオ燃料の活用については、現状では、作業船を含む船舶への供給体制が十分ではないことから、バイオ燃料の製造・供給まで踏み込んで検討を進めています。
このように、当社グループでは、事業戦略と整合させつつ、この移行計画を実現させるために、実行計画を検討し、取り組んでいます。