〜現場作業員の水中転落を検知し、救助初動を支援〜
広域通信型 落水者救援支援システムを開発

2025年07月08日

東亜建設工業株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:早川 毅、以下「当社」)は、海上作業の安全性向上を目的とし、LPWA(Low-Power Wide-Area Network:省電力広域ネットワーク)対応のGNSS(Global Navigation Satellite System:全地球航法衛星システム)を使用することで、作業員の落水を広範囲でリアルタイム検知し、落水者の追跡を長距離・長時間にわたって可能とする新しい安全管理システムである「広域通信型 落水者救援支援システム」を開発しました。

「広域通信型 落水者救援支援システム」イメージ
「広域通信型 落水者救援支援システム」イメージ

「広域通信型 落水者救援支援システム」イメージ

背景

港湾工事においては、作業員が水中に転落する「落水事故」が発生することがあります。これまでの落水事故は、現場職員の目視や作業員の不在からその発生を把握していました。

また、港湾工事に従事する作業員は、万が一の落水に備えてライフジャケットを常時着用していますが、落水事故の発生から救助までに要する時間により、生存確率は大きく変化するため、救命のためには落水者の早期の発見と救助が不可欠です。

そのため、「誰が、いつ、どこで落水したのか」を早期に検知し、迅速な救助活動につなげることを目的とした新たな安全管理システムを開発する必要がありました。

本システムの概要

本システムは、落水を検知すると信号を発信する「水検知センサー」と、位置情報を取得するGNSSを作業員に携帯させることで、水上作業(河川、港湾等)において、作業員の落水を瞬時に検知し、船内の管理者へ通知するとともに、事故発生位置の追跡を広域にわたり確実に実施できるものです。

また、低消費電力かつ広域・長距離通信を特徴とするLPWA規格のGNSSを使用することで、携帯電話が圏外となるような場所でも落水者の現在地がシステム画面上に常時表示されるため、事故発生位置の早期特定と迅速な救助活動の支援が可能となります。特に、GPS波浪計や洋上風力発電の設置など、沖合での作業に適しています。

管理用PC画面(落水者検知時の表示例)

管理用PC画面(落水者検知時の表示例)

システム関連機器

システム関連機器

本システムの特長

  • 落水事故の発生を瞬時に検知でき、警報機や管理用PCを通じて関係者へリアルタイムに情報共有することができる。
  • GNSS型位置管理端末を使用することで、作業員の位置(座標)がシステム画面上で追跡表示でき、早期発見と早期救助を支援できるため、安全性が向上する。
  • GNSSはLPWA規格に対応しており、携帯電話が圏外となる場所でも利用できるほか、長距離・長時間通信ができるため、落水者の追跡・救助が確実に遂行できる。
  • 船内の管理者に振動機能を有する装置を装備することにより、警報音が伝わりにくい環境下でも確実に伝達できる。(オプション)
  • システムと連動し、位置管理・追跡が可能なドローンで捜索を行うことにより、落水者の早期発見・位置確認ができるため、安全性が向上する。(オプション)

今後の展開

本システムは、2025年に国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録されました(登録番号:KTK-240009-A)。今後は、当社が従事する様々な現場へ導入し、改良を加えながら本システムの機能や運用性をさらに向上させていきます。

本件に関するお問い合わせ先

東亜建設工業株式会社
経営管理本部 コーポレートコミュニケーション部
TEL:03-6757-3821