人工知能(AI)画像認識技術を利用して海上土木工事の作業位置履歴の
記録業務を効率化する「無線式ガット船施工支援システム」の機能拡充

2021年11月18日

東亜建設工業株式会社(東京都新宿区:社長 秋山優樹)は、AI画像認識技術を用いて海上土木工事における土砂等(砂や石材)の投入を自動的に判定する機能を付加した無線式ガット船施工支援システム(NETIS登録番号:KTK-1100005-VE)を港湾工事へ試験的に導入し、有効性を確認した結果、高い検知率が得られたため、機能拡充としてNETIS登録情報を更新しました。

ガット船施工イメージ

バケットが閉じた場合

バケットが開いた場合

カメラ映像からAIがバケットの開閉を自動判定

システム画面例

導入の背景

海上土木の護岸基礎工事や埋立工事等において使用する作業船(ガット船)は、バケット付きクレーンを装備しており、順次移動しながら船倉に積込まれた土砂等をバケットで掴んで海中に放出する作業を繰り返して所定の位置へ土砂等を投入していきます。
当社が2009年に開発した無線式ガット船施工支援システム(NETIS登録番号:KTK-1100005-VE)は、このクレーンのブーム先端に設置したマグネット着脱式GNSSアンテナの情報から投入位置(XY平面)および投入履歴を表示することでオペレータへ投入支援を行うシステムです。
当該システムは、オペレータや職員が土砂等を掴んだバケットが開いて土砂等を投入したことを目視判断して、その都度手動でシステムを操作し、投入位置履歴を記録するため、利便性の改善とヒューマンエラー防止対策といった課題もありました。そこで、今回試験的に導入したAI画像認識技術は、カメラで撮影した映像内のバケット開閉をAIが識別して投入判別するとともにGNSSから取得した投入位置を自動記録する機能を付加することで、オペレータや職員の負担軽減とヒューマンエラー発生の防止を実現しました。

システム概要

当該システムは、AI画像認識技術によりカメラで撮影されたバケットの開閉動作を高精度に識別します。AI画像認識の教師データには、実際の港湾工事で撮影した映像を用いることで、様々なバケット形状に適用が可能です。従来のシステムにカメラ(映像情報)を追加したシンプルな機器構成となっております。また、投入判定エリアを任意に設定できるので、船倉内を投入判定エリアから外すことで土砂等を掴む際に誤って船倉内を投入位置として記録することはありません。このようにAI技術を用いて、投入位置・回数カウント等の作業履歴を自動記録できることから業務が効率的になるため、現場施工の生産性向上に寄与します。

船倉内のバケット開閉は投入位置として記録しない

今後の展開

今後、ICT基礎工など様々な現場へ導入を重ね、判別精度を向上させるとともに、AIが海底の現地盤の地形に応じた投入位置や投入量を自動的に指示することで、更なる効率化・省力化を図れるシステム構築にも取り組んでいきます。
また、将来的には、AI画像認識技術による作業員の異常(転倒や海中転落等)検知など、施工管理に加えて安全管理への機能拡張を図っていきます。

お問い合わせ先

東亜建設工業株式会社 経営企画部広報室 北川 欽一
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