〜調査・設計・施工までのトータル管理〜
埋立粘性土地盤での「ACCESS法」の有効活用に向けた
原位置地盤試験機(TOA-SID-MarkU)を開発

2021年03月18日

東亜建設工業株式会社(東京都新宿区:社長 秋山優樹)は、機動性や操作性に優れた原位置地盤試験機(TOA-SID-MarkU)を開発・導入しました。これまで大規模な埋立や盛土工事を対象として適用していた当社独自の軟弱地盤の調査・設計・施工管理技術(ACCESS法:Advanced Construction Control for Earthwork on Soft Soils)を、より広範な条件下の工事に展開するため、地盤試験専用プラットフォームとして活用していく予定です。

開発の背景

当社は1990年代に、埋立や盛土工事を対象として、軟弱な粘性土地盤に対する調査・設計から施工に至るまでの一連のプロセスを、一貫した手法に基づいて評価/管理する技術「ACCESS法」を開発しました(図-1)。当技術は、電気式コーン貫入試験(CPT)をはじめとした原位置試験と、一面せん断試験(DST)などの室内試験を組み合わせた独自性の高い技術として評価されてきました。一方で、調査機を地盤へ貫入させるボーリング機械や大型地盤貫入機をプラットフォームとして利用することが前提となっていたため、主にコスト面から、適用できるケースが大型プロジェクトに限定される、という背景がありました。
一方、近年の建設業界においては、就業者の高齢化や若年入職者の減少に伴い、現場情報を効率的に収集し、適切に活用する、いわゆる情報化施工の必要性が益々高まっています。このACCESS法は、施工中のデータをその後の工程に随時フィードバックしながら高品質な土構造物の構築を実現する管理手法であり、“地盤情報を上手にコントロールし、人為的判断誤差を最小化できる”方法として、 改めてその重要性に注目しています。
そこで、このACCESS法を大型プロジェクトのみならず、比較的小規模な工事に至るまで幅広く活用していくため、工事現場での機動性と操作性に富んだ専用プラットフォームとしてTOA-SID-MarkUを開発・導入しました(写真-1,2)。

図-1 ACCESS法の実施フロー

写真-1  TOA-SID-MarkUの全景

写真-2 TOA-SID-MarkUを用いた
原位置試験の様子

「TOA-SID-MarkU」の特長

TOA-SID-MarkUの導入目的は、ACCESS法を比較的小規模な工事も含めて広く展開することにあります。 そのため、より多くの現場で手軽に適用できるように、機体の小型化を図り、運搬時に一般貨物自動車に積載できる仕様を採用しました(写真-3)。これにより、調査場所をスムーズに移動することができます。さらに、自走式キャタピラ構造を備えつつ、軽量化(約600kg)を図ることで、ぬかるみなどの厳しい現場環境(写真-4)においても優れた機動性を発揮します。
ACCESS法は複数の原位置試験を組み合わせて地盤情報の評価を行うため、貫入ヘッドにスライド構造を採用し、一度の機械設置で複数の試験を容易に実施できる仕様としています(写真-5)。
なお、これらの特長については、当社が受注した公共工事の中での現場実験を通じて確認を行っています。

写真-3 車載状況

写真-4 厳しい現場環境での試験

写真-5 ヘッドスライド構造を活用した
FVT実施状況

今後の展開

本試験機は、当社独自の技術であるACCESS法をより広範な条件下の工事に展開する目的と合わせ、様々な工事の中で頻繁に出現する以下の技術課題に対しても効果的な活用が見込まれます。

  • 仮設検討における粘性土厚/地盤強度の評価
  • 盛土での円弧すべり照査のための強度定数取得
  • 圧密促進工法におけるドレーン打設深度確認や圧密度推定
  • 地盤改良工や杭打設の支持層深度把握   など

本件に関するお問い合わせ先

東亜建設工業株式会社 経営企画部広報室 北川 欽一
TEL:03-6757-3821 / FAX:03-6757-3830
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