人工知能(AI)の画像認識技術を利用した船舶監視システムを試験導入

2020年03月26日

東亜建設工業株式会社(東京都新宿区:社長 秋山優樹)は、富士通株式会社が開発したAI画像船舶認識技術を用いて他船舶を自動で識別する船舶監視システムを港湾工事へ試験的に導入し、実用性の検証を行いました。

導入の背景

当社が2019年に開発した航行支援システム「ARナビ」は、高性能カメラ、GNSS端末、AIS(自動船舶識別装置)、船舶レーダー等を利用して、操船者に対してカメラで撮影した映像上に航行経路や針路、危険エリアなどを拡張現実(AR)として重ねて表示し、視覚情報と音声情報で分かりやすくナビゲーションするシステムであり、様々な港湾工事で使用されています。当該システムで他船舶の動静監視は大型船をAIS、小型船を船舶レーダーで実施しています。しかし、AISは情報の更新間隔が不規則であり最新情報を入手できないことや、船舶レーダーは波と小型船の区別がつかないなどの課題もありました。

今回試験的に導入したAI画像船舶認識技術は、4Kカメラで撮影した高画質な映像内の船舶(大型船・小型船)の船種を自動で識別して、操船者へ知らせることで船舶監視の負担軽減に寄与します。

AIによる船舶検知表示イメージ

システム概要

富士通株式会社が開発したAI画像船舶認識技術は、画像解析に特化したCNNモデル(Convolutional Neural Network)を使用しており、カメラで撮影された一般船舶の船種(大型船・小型船)を高精度に識別することができます。教師データには、富士通株式会社が独自に構築したものに加えて、当社の港湾工事で撮影した映像を用いることで、一般船舶のほか、作業船や潜水士船、警戒船等の工事用船舶の識別が可能となりました。本システムは、4Kカメラ(映像情報)、ノートPC(ソフトウェア)、警報装置で構成され、様々な船舶への搭載が可能なシンプルな機器構成となっています。

今後の展開

実工事での試験導入では、操船者に対して高い検知率で識別した他船舶情報を提供することができました。

今後、当社の既存技術である航行支援システム「ARナビ」との連携を図ることで、土運船(押船)等の長距離航行や、一般航行船舶(特に小型船)が多く航行する現場において、航行監視の効率化・負担軽減が期待されます。さらに様々な現場で検証を重ねることで、港湾工事に特化したシステムとして機能拡張を図って参ります。

本件に関するお問い合わせ先

東亜建設工業株式会社 経営企画部広報室 北川
TEL:03‐6757‐3821 / FAX:03‐6757‐3830