開設40周年を迎えた「海の相談室」

2018年03月23日

東亜建設工業株式会社(東京都新宿区、社長:秋山優樹)の「海の相談室」は、1977(昭和52)年4月の開設以来、お客様の様々なご相談に幅広くお応えしてまいりましたが、このたび、おかげさまで40周年を迎えました。

「海の相談室」の成り立ち

当社は、創業者である浅野総一郎が欧米諸国を訪問した際、欧米の港湾施設が非常に発達していることに驚いたことを契機に、1908(明治41)年、神奈川県鶴見・川崎地先に、港湾機能を持つ一大工業用地建設を行う、わが国初めての埋立事業者(デベロッパー)として創業されました。このとき整備された150万坪の造成地は、後に日本重化学工業の中枢とも言える京浜工業地帯へと発展しました。

臨海部における海上土木工事を中心に発展してきた当社は、臨海部の開発に必要な様々な経験を積み重ねた結果、1977 (昭和52)年、「海を愛する」という基本理念のもと、臨海部の開発手続きの支援や関係官庁との折衝、環境アセスメント等に関する支援サービスを「海の相談室」としてスタートさせました。

「海の相談室」に寄せられたご相談のトレンド(年代別)

【1977 年〜貿易摩擦で米国の日本への圧力が高まる1980 年代前半まで】

大規模な沿岸域の埋立などが行われ、その手続きの支援や港湾計画の変更に関するお手伝いなど、沿岸域における様々な事業展開を広くサポートしました。

また、水辺空間の積極的活用を支援する専門家集団として1984(昭和59)年に「海の相談室」内に設けた「ウォーターフロント開発チーム」が、臨海部の開発において様々なお手伝いを行いました。

【1985 年〜90 年代初頭のバブル時代まで】

円高が進み、低金利政策の下、1987(昭和62)年には総合保養地域整備法(いわゆるリゾート法)が制定され、全国でリゾート開発がブームとなりました。この時期は、お客様からのご相談も海洋レクリエーション基地や水上商業施設の建設、マリーナ開発など、市民がリゾート休暇を楽しむための大規模な施設の開発が多数進められました。

当社は、フランスを中心に広くヨーロッパで利用されている、「海水や海藻などの 海の資源を活用して身体の機能を高めるタラソテラピー(海洋療法)」を導入したホテル建設にも携わり、現地の海水利用において品質を確保するための技術的なサポートなども行いました。

【バブル崩壊後の1990 年代後半〜2000 年代前】

沿岸域で生態系保全や水質浄化、海岸事業、漁業、マリンレジャー、埋立など様々な利用や価値観が多様化する時期で、パブリックアクセスが限られる大都市圏では人工海浜の造成に関わるご相談や、開発行為の影響を緩和させるミチゲーションに関するご相談、また、水産業の振興に関わる養殖事業のご相談、健康増進施設の建設に関わるご相談、浚渫土砂の活用に関するご相談など、沿岸域の多様な利用に伴うご相談が寄せられました

【2000 年代後半〜現在】

大型の開発案件は減りましたが、臨海部のリニューアルに伴う手続きのご相談や漁業振興に関わるご相談、施工中の水中騒音振動計測に関するご相談、沿岸域の土地利用に関するご相談などに加え、海外から環境保全に関わるご相談なども寄せられています。

「海の相談室」のご相談事例

「海の相談室」では、その時代のニーズを反映したお客様の様々なご相談、約1800 件にこれまでお応えしてまいりました。過去5年間のご相談案件の推移を 図-1 に示します。ご相談は全国津々浦々から海外まで、海に限らず河川やダム湖などの陸水域も含めた広範なエリアからいただいております。

図-1 最近の年度別ご相談案件の推移(2017年度は2月15日現在)

【代表的なご相談事例】

東京湾内の大規模埋立事業における環境影響評価手続きの支援をはじめ、ウォーターフロント開発が盛んな時期には、日本初の本格的タラソテラピー(海洋療法)を導入したリゾート施設「タラサ志摩ホテル&リゾート」(写真-1)の基本構想・基本設計に関連する海洋調査、取排水設備設計等を手がけました。

写真-1 タラサ志摩ホテル&リゾート

また、日本最大級のマリーナ・西福岡マリーナ(福岡市 写真-2)の基本計画の支援や、最近では、周辺環境へ配慮した施工として水中騒音・振動計測調査などにも対応し(図-2)、お客様が抱える水辺の多様な課題に解決策をご提案して参りました。

写真-2 西福岡マリーナ(マリノア)

図-2 水中騒音・振動計測監視システム

「海の相談室」ではこのようなご相談に対応しています

  1. ご相談事例:港湾・海岸などの利用に関する法令・手続き
    • 埋立地の用途変更をしたい
    • 水上施設に関する水域占用の手続を教えてほしい
    • 環境アセスメントについて知りたい
    • 海上工事に関係する法令を知りたい
  2. ご相談事例:海域の環境保全・再生・創出
    • 観光地の水質や底質をキレイにしたい
    • 海上工事の騒音や振動の対策をしたい
    • 藻場や干潟・浅場を造成したい
    • 生物共生護岸について知りたい
    • 漁場を再生して魚や貝を増やしたい
    • 環境学習を企画したい
  3. ご相談事例:その他水辺に関するもの
    • マリンレジャー基地など海を楽しむ空間を創りたい
    • 浚渫土砂を有効活用したい
    • 海上土木技術について知りたい
    • 臨海部を活性化したい
    • マリーナについて知りたい

「海の相談室」の今後の展開

当社には、100 年を超える長きにわたり、海に関わる多様な業務で培ってきた豊富なノウハウがあります。「海の相談室」は、これらのノウハウを基に、お客様のご相談に迅速かつ的確なご提案をさせていただきます。

お客様が事業展開の中で抱えられている「法令や手続きに関する諸問題の解決」、開発時に求められる「周辺環境への影響に配慮した技術支援」や「自然環境保全・再生・創出」などに今後も引き続き対応して参ります。

さらに、「海の相談室」はその時代の多様なニーズにお応えすることをミッションとして参りましたが、今後も新しい波を捉え、最新の技術と地域の豊かな資源を活用する新たな価値をご提案して参ります。

(ご相談窓口)
海の相談室

〒163-1031
東京都新宿区西新宿3-7-1 新宿パークタワー31階
東亜建設工業株式会社 海の相談室
TEL:03-6757-3842 FAX:03-6757-3847

本件に関するお問い合わせ先

東亜建設工業株式会社 経営企画部広報室 清水
TEL:03‐6757‐3821 / FAX:03‐6757‐3830