省エネルギー設計支援ソフト「ZEB評価ツール」を共同開発
− 設計段階での省エネルギー効果の評価が可能に −

2018年01月31日

青木あすなろ建設株式会社、五洋建設株式会社、株式会社錢高組、西松建設株式会社、三井住友建設株式会社および東亜建設工業株式会社の6社は、ZEB(※1)を構成する各種の省エネルギー技術の導入効果を設計段階において評価を可能とするシステム「ZEB評価ツール」を開発し、活用を開始しました。

再整備の背景

石油危機以降、わが国の最終エネルギー消費は、民生部門(業務部門、家庭部門)が、3割以上を占め、増加傾向にあることから、徹底的な省エネルギーが課題となっています。このような背景から、室内外の環境品質を低下させることなく、大幅な省エネルギーを実現するZEBが注目されています。2014年4月に閣議決定された「エネルギー基本計画」では、「建築物については、2020年までに新築公共建築物等で、2030年までに新築建築物での平均でZEBを目指す」とする政策目標が設定されました。

ZEBを目指した建築物の設計を行う場合、個々の技術を適用した時の、省エネルギー効果を事前に評価することが必要です。

これまで評価に際しては、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(以下、建築物省エネ法という)において適合性判定・届出に使用されている「エネルギー消費性能計算プログラム」(※2)が広く使われてきました。

しかしながら、ZEBを目指す設計を行う上でより高度な省エネルギー技術の導入を考えた際、評価できる省エネルギー技術の種類に制約がありました。

高度な省エネルギー技術の評価が可能なプログラムは他にも見られますが、限られた設計期間で実務設計者が活用していくには、操作に対する専門知識や利用制限等の課題もあり、ZEBを評価する環境が十分とは言えませんでした。

そこで、高度かつ先進的な省エネルギー技術の設計段階での省エネルギー効果の評価が可能で、かつ、実務設計者が利用しやすいツールの必要性が今後高まることを想定して、「ZEB評価ツール」を開発しました。

ZEB評価ツールの概要

今回開発したZEB評価ツールには以下の特長があります。

  • 空調用一次エネルギー消費量計算には、多くの熱負荷計算のベースに採用され定評のあるHASPプログラム(※3)を採用。
  • ZEBに有効で先進的技術とされる「ダブルスキン」、「自然換気」、「地中熱利用」等の空調の省エネルギー評価が可能。
  • ZEB評価の対象となっている消費設備(空調、換気、照明、給湯、昇降機)について「年間一次エネルギー消費量」の算出が可能。
  • 建築物省エネ法で定められた性能判断基準である「BEI(※4)」を算出可能。
  • 複数の設計案の評価結果についてグラフ描画、比較が可能。
  • ZEBの達成度合いを評価できる「ZEBチャート」の自動描画が可能。

「ZEBチャート」出力表示例

今後の展開

今後は、さらなる操作性の改善や評価できる省エネルギー技術数の充実を図るシステム開発を継続していく一方、同ツールを顧客への提案に活用していくことで、ZEB化を積極的に推進してまいります。

  • ※1 ZEB:Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビルディング)。年間一次エネルギー消費が正味(ネット)で概ねゼロとなる建築物。日本ではZEBの概念が拡張されており、太陽光発電などによる創エネルギー以外の省エネ効果によって、省エネ基準に対して50%以上の削減性能を持つ建築物を指しています。
  • ※2 「エネルギー消費性能計算プログラム」:(独)建築研究所、国土交通省 国土技術政策研究所が公開し、建築物省エネ法において、適合性判定、届出の際に使用されている設計段階における建物の年間一次エネルギー消費量を算出するプログラム
  • ※3 HASPプログラム:一般社団法人建築設備技術者協会(JABMEE)が提供するHASP/ACLD/8501, HASP/ACSS/8502, NewHASP/ACLDのソースプログラム、実行形式、マニュアル、テスト用入出力データの総称。 参照http://www.jabmee.or.jp/hasp/
  • ※4 BEI(Building Energy Index):設計した建物の省エネ性能を表す指標で、設計一次エネルギー消費量を建築物省エネ法の告示によって建物の室用途ごとに決められている基準一次エネルギー消費量の総和で除した値。

本件に関するお問い合わせ先

東亜建設工業株式会社 経営企画部広報室 清水
TEL:03‐6757‐3821 / FAX:03‐6757‐3830