2015年08月05日
東亜建設工業株式会社(東京都新宿区、社長:松尾正臣)は、株式会社テクノコア(埼玉県川口市、社長:替場信一)と共同で、建設工事に伴って発生する粉じんを自動的に低減する「粉じん見張り番(自動粉じん低減システム)」を開発し、施工中の現場でその効果を確認しました。
施工中の工事現場では、土砂の掘削や建築物の解体、工事車両の走行に伴い、粉じんが発生します。このため、その粉じんが工事区域外へ飛散して周辺環境へ悪影響を及ぼさないように、さまざまな対策がなされています。
そのような中、これまでに各種の散水装置による粉じん対策技術が開発されていますが、@工事現場の風向の変化により粉じんの拡散方向が変わった場合でも粉じん低減効果を維持でき、A少ない水で効率よく低減させる技術が求められていました。
そこで、「粉じん見張り番」は、@散水範囲を広くすることで、多様な方向へ変化する粉じんの拡散に対応し、A常に現地の粉じん拡散状況を監視して、必要な状況にのみ自動的に散水が行われる節水型の自動粉じん低減システムとして開発しました。
「粉じん見張り番」は、現地の粉じん拡散状況を風向風速計と粉じん計により常に監視し、現場の粉じん拡散の特性と周辺環境の状況を基に、あらかじめ設定した風向・風速や粉じん濃度(管理基準値)に応じて自動的に散水するものです(図-1)。
散水が必要な状況になると、シリコン製のノズルが水圧により高速で左右に繰り返し振動しながら水を散布することで、面状に水滴のカーテンを形成してその面を透過する粉じんを低減します(図-2)。現場の状況に応じて散水されるため、節水ができ、タンクへの給水作業や経済的な現場の負担が軽減されます。
さらに、図-1のスタンドによる散水の他、写真-2のように万能塀等に固定して散水することも可能であるため、現場の条件に応じて使い分けることができます。
車両走行に伴って発生する粉じんを対象として適用したところ、風速5〜7m/s において、37〜56%(平均約50%)の粉じん低減率が得られました(図-3にその一例を示します)。また、ノズル1本あたりの散水範囲は、ノズルを中心に水平方向に約8m(現地風速1〜2m/s)に及ぶことを確認しています。粉じんの拡散の状況に応じて、スタンド1台あたりのノズル数を増やすこともできます。
図−1 自動粉じん低減システムの構成
図−2 粉じん見張り番の散水イメージ
写真−1 ノズル
写真−2 万能塀に固定した本システム
図−3 現地実験における粉じん濃度の比較
粉じんの拡散は、現地の風況や発生源(粉体)の性質が大きく影響するため、さまざまな条件の現場で実績を積み重ね、更なる粉じん低減効果の向上に努めたいと考えています。