2015年03月04日
東亜建設工業鰍含むCCB工法協会共同研究会(代表会社:株式会社淺沼組)の10社は、耐震壁のひび割れ誘発目地工法「鉄筋挿入型ひび割れ制御工法:CCB工法」において、本工法をさらに使い易くするため、目地設置による壁の増打ちコンクリートを不要とする『CCB-NAC工法』を開発し、平成26年12月11日付けで一般財団法人日本建築総合試験所の建築技術性能証明(第14-24号)を取得しました。
CCB(Crack Control Bar)工法は、鉄筋コンクリート壁の収縮ひび割れ発生位置を制御する工法で、早期かつ確実に誘発目地内へひび割れを誘導させると同時に、目地部以外の壁面にひび割れをほとんど発生させないことが可能となります。本工法の特長は、目地位置でのコンクリートの比率を減らす手段として目地に沿って太径異形棒鋼のひび割れ誘発材および壁縦筋を直線上に配置する点です。これにより、従来型のひび割れ誘発目地に比べ、壁の増打ちコンクリート厚さを大幅に低減できるメリットがあります。また、専用のひび割れ誘発材固定ジグを使用することで、簡易ながらも精度の高い施工を可能にしていることから、これまで順調に施工実績(72件:2015年1月現在)を積み重ねてきました。
一方、CCB工法の更なる技術発展を目指し、2012年4月より工法協会内に共同研究会を発足させ、新たな建築技術性能証明の取得に向けて、京都大学の西山教授および東京工業大学の河野教授のご協力を得て開発を進めてきました。
今回の工法改良では、一般に誘発目地を設けて構造躯体のコンクリートを欠損させる耐震壁はせん断耐力の低下が懸念されますが、CCB-NAC工法(図1)は目地部を太径異形棒鋼のひび割れ誘発材で補強しているため、耐震壁のせん断耐力が低下しません。これにより、同じ耐力でも従来の壁より壁厚が薄くなり、壁の増打ちコンクリートが不要となることでコストを低減できるだけでなく、壁の自重もさらに減じることが可能となります。ひいては、建物の軽量化による耐震安全性の向上、室内空間におけるプランニングスペースの拡大をもたらします。
図1 CCB工法とCCB-NAC工法の比較
※NAC(No Additional Concrete)
上記(1)〜(5)に加え、CCB-NAC工法を用いた耐震壁のせん断耐力は、増打ちを含まない壁厚を用いて評価できるため、従来のCCB工法目地を設置する際に必要であった目地深さ厚の増打ちコンクリートが不要になります。ただし、ひび割れ誘発目地の深さの総和は壁厚の20%以内、目地底間寸法に対するひび割れ誘発材の割合(誘発材率)は10%以上かつ20%以下とします。
CCB-NAC工法の主な適用範囲は、以下の通りです。
コンクリート |
:コンクリートの種類:普通コンクリート(JASS5) :設計基準強度Fc(N/mm2):21≦Fc≦48 |
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鉄筋 | :異形棒鋼:SD295A、SD295B、SD345、SD390 (JIS G 3112) |
固定ジグ | :CCB工法協会が指定する専用固定ジグ (岡部インダストリー(株)社製) |
(1) 建築技術性能証明 | :CCB工法 日本建築総合試験所 GBRC 性能証明 第09-04号改 |
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(2) 建築技術性能証明 | :CCB-NAC工法 日本建築総合試験所 GBRC 性能証明 第14-24号 |
(3) 特許 | :No.4719032 |