2014年03月12日
東亜建設工業株式会社(東京都新宿区:社長 松尾正臣)は、作業船のメンテナンス効率を高めるため、自社作業船に、主要設備である回転機械の状態監視・劣化予測を可能とする「作業船設備診断システム」を導入しました。
複数の大型作業船を保有する企業にとって、作業船を維持するうえで、ライフサイクルコストの削減は大きな課題であり、作業船の延命化に繋がる重要な要素として、メンテナンスの効率化が求められています。
そこで当社は、ジャパンマリンユナイテッド株式会社及び株式会社IMCが保有する予知保全技術を活用し、振動データと弾性波データを取得して状態監視する「作業船設備診断システム」を自社作業船に導入することにより、主要設備である大型ポンプや大型ウインチなどの回転機械の@劣化兆候と異常原因の迅速把握、A補修時期の事前予測、B保全員の省力化、C保全コストの低減、D事故の未然防止を可能としました。
作業船は、主要設備として大型ポンプや大型ウインチなどの回転機械があります。これらの回転機械の状態を診断する方法としては、振動計測により分析・評価する方法が一般的です。しかし、作業船の大型ウインチなどは、電動機・減速機を介して最終的にドラム回転数が10rpm(注1)以下の超低速となるため、このような低速回転時の軸受部は、損傷の衝突エネルギーが小さくなり、振動計測だけでは正確に設備診断することが困難です。
こうした問題を解決するため、「作業船設備診断システム」では、振動計測とともに、傷、亀裂、摩耗などによる弾性波を取得し、150rpm以下の低速回転の軸受部でも計測可能なAE計測(注2)を用いた低速回転軸受診断器を採用しています。
本システムの特長は以下の通りです。
今後は、継続的なデータ取得により精度の高い劣化予測を目指すとともに、オンラインシステムによる遠隔計測の実施を行い、メンテナンス効率のさらなる向上に取り組みます。
注1:10rpm:10回転/分
注2:AE(アコースティックエミッション)計測:材料に変形や亀裂が発生した際に、材料内部に蓄えられたひずみエネルギーが弾性波として放出される。この弾性波をセンサーで計測し、材料の破壊過程を評価する方法。
注3:高速フーリエ変換による分析:回転機械から発生する複雑な振動の中に、どのような周波数と振幅を持った振動が混ざっているのかを判別する方法。