「無線式ガット船施工支援システム」を開発
〜ガット船による捨石投入作業の効率化を実現〜

2013年01月11日

東亜建設工業株式会社(東京都新宿区:社長 松尾正臣)は、施工海域で作業が輻輳するガット船(グラブ付運搬船)による捨石投入作業を効率化するため、「無線式ガット船施工支援システム(以下、本システム)」を開発しました。

開発の背景

防波堤などの土台(基礎マウンド)を築造する際に使用される捨石は、ガット船によって投入作業が行われます。

従来は、予め海面に設置しておいた明示旗、ブイ等を目標に投入位置の確認を行っていましたが、投入作業前の準備に時間を要する、荒天等により明示旗が流出する等の問題がありました。

近年では、GPSを用いた捨石投入管理も行われていますが、多数のガット船が入れ替わりで捨石投入作業を行う場合、GPSアンテナの設置やGPSアンテナから位置情報を伝送するケーブルの敷設といったガット船への艤装に時間を要するため、効率的な艤装方法が求められていました。

そこで、GPSアンテナの設置作業の簡略化、及びGPSにより入手した位置情報の伝送の無線化により、ガット船への艤装を容易とする「本システム」を開発しました。

これにより、施工海域で輻輳するガット船による捨石投入作業の効率化を図ることができます。

「本システム」の特長

「本システム」は、GPSアンテナ、GPS無線ユニット、及び表示部の3つの機材で構成されています。

  • (1)GPSアンテナの設置時間の短縮

    位置情報を入手するGPSアンテナは、強力磁石により、様々な形状を持つブーム先端部にも容易に設置することができるため、設置時間の短縮を図ることができます。

  • (2)GPS無線ユニットによる無線伝送

    GPS無線ユニットには、バッテリー、及びデータ伝送装置を内蔵しているため、GPSの測位データをオペレータ室にあるデータ表示部に伝送する通信ケーブルの敷設が不要です。

  • (3)リアルタイムで視覚化された表示機能
    (@)リアルタイムかつ高精度な誘導
    平面位置精度=60cm、1秒間に5回の測位データの取得が可能であるGPSを採用しており、リアルタイムかつ高精度な投入位置表示が可能です。
    (A)堆積形状予測機能
    深浅測量等で得られた三次元地形データなどをシステム上に取り込み、カラーコンター図(等深線平面図)を画面上に表示します。
    また、堆積形状予測モデル(松見モデル(注1))に基づいて、投入位置、回数に応じて予測される堆積形状を表示することにより、捨石投入作業を視覚的に支援します。
    (B)投入履歴記憶機能
    投入履歴(投入した箇所)を表示する機能や、任意の施工管理ラインを画面上に表示することにより、効率的な捨石投入作業の管理が可能です。

    (注1):松見モデル(鳥取大学の松見教授らが提案した堆積形状予測モデル)
    投入時の捨石群の体積から捨石投入群の海底での堆積形状を予測する数値モデルで、1点連続投入時の堆積形状のみならず、多点連続投入時の土砂堆積形状の予測、さらには連続投入時のブロック・マウンド間の不陸部を最小にするバージ船の配船位置についても情報が得ることが可能です。

無線式ガット船施工支援システムのイメージ

本システムのイメージ図

GPSアンテナ設置状況

GPSアンテナ設置状況

投入モード(投入履歴表示)

投入モード(投入履歴表示)

堆積形状予測モード(カラーコンター表示)

堆積形状予測モード(カラーコンター表示)

今後の展開

本システムは、国土交通省の新技術情報提供システム(NETIS)に登録(登録番号=KTK-110005-A)されており、これまでに、10件以上の施工現場で採用されています。
現在、捨石の投入位置だけでなく、作業船舶の位置や向きも併せて管理できるシステムを開発しています。

本件に関するお問い合わせ先

東亜建設工業株式会社 経営企画部広報室 清水
TEL:03‐6757‐3821 / FAX:03‐6757‐3830