洋上風力発電建設技術および事業化に関する共同研究について
〜6社1協会による「地域振興型アクア・ウィンド事業化研究会」の設立〜

2012年09月04日

日立造船株式会社(大阪市住之江区、社長:古川 実)、一般財団法人日本気象協会(豊島区東池袋、会長:繩野 克彦)、株式会社東芝(港区芝浦、社長:佐々木 則夫)、JFEスチール株式会社(千代田区内幸町、社長:林田 英治)、住友電気工業株式会社(大阪市中央区、社長:松本 正義)、東亜建設工業株式会社(新宿区西新宿、社長:松尾 正臣)、東洋建設株式会社(江東区青海、社長:毛利 茂樹)の6社および1協会は、洋上風力発電建設技術および事業化に関する共同研究会として「地域振興型アクア・ウィンド事業化研究会」(以下、研究会という)を設立しました。

研究会は、地域協調や地域経済の活性化など地域振興に寄与する洋上風力発電事業の実現に向けた調査・検討を行い、各社の特性や技術力、知識を結集して洋上風力発電に関する事業提案を行うことを目的としております。

主な活動内容は以下のとおりです。

1.着床式洋上風力発電事業に関する事業提案について

今年度内に有力と考えられるフィールドを選定して風況観測を実施する予定です。次年度には、風況観測結果および建設費・運営費の試算結果に基づいて経済性の評価を行い、研究会として最終的な事業化の可否を判断します。

事業化が可能と判断された場合には、別途、特別目的会社(SPC)を設立し具体的な事業の実現を目指して活動していきます。SPCには、研究会メンバー企業の他、エネルギー関連企業や地元企業・団体等からの出資も募ります。

以上のように、洋上風力発電に適したフィールドの選定、風況観測と事業性評価から、SPCによる事業遂行までを民間主導で実施します。数年後には、7.5MW未満のパイロットプラントを数箇所に建設し、10年後には数百MW規模の洋上ウィンドファームの建設を目指します。

2.浮体式洋上風力発電の技術開発と実証試験について

浮体式洋上風力発電は、現時点で研究開発段階と捉えており、技術開発と実証試験に向けた取り組みを実施します。研究会では、浮体動揺に対する風車挙動の検討、コスト低減に向けた検討、洋上風車設備のメンテナンス手法の構築などを実施します。実証試験に関しては、着床式パイロットプラントのフィールドや供用可能な設備を活用し、さらに試験終了後の設備利用を可能とする試験計画の立案を行います。

なお、6社1協会の主な役割は下表のとおりです。

メンバー企業 主たる担当項目
日立造船株式会社 海洋構造物(着床式/浮体式)
一般財団法人日本気象協会 環境影響評価,風況調査
株式会社東芝 風車設備
JFEスチール株式会社 鋼材
住友電気工業株式会社 海底送電ケーブル
東亜建設工業株式会社 洋上施工技術
東洋建設株式会社 洋上施工技術

洋上風力発電は、再生可能エネルギーの一つとして温室効果ガス削減の観点からも注目されてきましたが、東日本大震災以降は電力供給の側面でもより大きな注目を集めています。日本は、排他的経済水域面積が世界第6位の海洋国であり、洋上は平均風速が大きいことや乱れが小さいことから、安定的・効率的な発電が見込まれ、着床式ならびに浮体式の洋上風力発電が期待されております。

日本でも本年7月より固定価格買取制度が開始されていますが、研究会では、地域と発電事業者がWin-Winの関係で地域社会全体の活性化に貢献することを目指し、電力の安定供給と温室効果ガスの排出削減に向けた大規模洋上風力発電の事業化に積極的に取り組んでまいります。

洋上風力発電施設のイメージ

図 洋上風力発電施設のイメージ