ダムの調整池・貯水池の堆砂除去装置「マジックボール」を開発
〜東京電力「高瀬川第五発電所調整池堆砂除去工事」に初適用〜

2009年03月18日

東亜建設工業(東京都千代田区:社長 鈴木行雄)は、東京電力株式会社(東京都千代田区:社長 清水正孝)と共同で、水力発電用ダムの調整池や貯水池に堆積する土砂(堆砂)の除去装置「マジックボール」(特許出願中)を開発しました。
今回開発したマジックボールは除去機能を最大限に発揮できるよう球形としており、陸上に設置したウィンチで遠隔操作し、球体に内蔵した吸入装置で堆砂を吸引します。
小型で運搬が容易であるため、主に山間部の調整池や貯水池での堆砂除去に適しています。
東京電力(株)発注の「高瀬川第五発電所調整池堆砂除去工事」に初めて適用しました。

装置開発の背景

水力発電用ダムの調整池や貯水池では、堆砂が進行した場合、貯水量の低下による発電量の減少を防ぐため、必要に応じて堆砂の除去を行います。
通常、堆砂除去には浚渫船などが使用されますが、一般的にダムは山間部に位置しているため、工事用船舶・重機の搬入が制限されることが多く、有効な堆砂除去の技術が確立されていませんでした。
そこで、当社は水力発電用ダムを数多く抱える東京電力(株)と共同で、小型で運搬が容易な堆砂除去装置「マジックボール」を開発・実用化しました。

マジックボールの特長

  • (1)小型で軽量
    小型で軽量なため、運搬が容易であり、浚渫船では対応が難しい山間部の調整池や貯水池の堆砂除去に適している
  • (2)余分な水を取り込まず、堆砂を効率的に吸入
    球体下部と堆砂の接触面では少量の水が高速で流れ(「みずみち」形成)、堆砂を巻き込むため、余分な水を取り込まず、堆砂を効率的に吸入する
  • (3)作業効率・安全性が高い
    陸上に設置した複数台のウィンチを、マニュアルモード、オートモードで遠隔操作するため、作業効率・安全性が高い
  • (4)環境に配慮
    動力源は、主としてダムの管理用電気設備を使用するため、余分なCO2の発生が抑制できる
  • (5)直立姿勢を保ち常に安定した施工が可能
    球体に内蔵したフローターとウェイトのバランスにより、常に直立姿勢を保ち、安定した施工ができる

今後の展開

今回開発した「マジックボール」は、山間部の調整池のほか、一般の船舶・重機では対応が難しい河川、湖沼など狭隘な水域にも適用が可能です。
今後は、東京電力(株)をはじめとする電力会社や水域管理を行っている行政機関にも、有効な堆砂除去技術として提案していく予定です。

  • 【マジックボール】【マジックボール】
    径φ1200mm・重量450kg・吸入装置1台
  • 【位置決め装置】【位置決め装置】
  • 【遠隔操作盤】【遠隔操作盤】
  • 【操作盤モニター】【操作盤モニター】