ピン接合形式による外付け耐震補強構法『KG構法』を共同開発

2008年10月21日

東亜建設工業(東京都千代田区:社長 鈴木行雄)は、業務提携先である安藤建設(株)(東京都港区芝浦:社長山田恒太郎)と共同で、重要な社会資本である学校や住宅等のストック建築物を『もっとスマートに、確実に』耐震補強するために、ピン接合形式の外付けフレームによる補強構法『Key Grid構法(以下、KG構法)』を開発しました。

KG構法は中低層の建物を対象とし、鉄骨造のフレームと制振装置を組み合わせた新しい耐震補強構法です。既存建物の柱梁接合部に『KGピン』と称する新開発のピン装置を取付け、これを介して鉄骨造の補強フレーム『KGフレーム』を取付けます。KGフレームの柱中間部には、新開発の摩擦ダンパー、鋼材ダンパー、粘弾性ダンパーなど、建物の特性に応じた『KGデバイス』(制振装置)を取付け、最後に保護カバープレートで仕上げて完成となります。

耐震補強構法には、建物の外側に新たな補強フレームを設けるもの、採光を可能にした耐力壁を設けるもの、ブレース(斜め材)を設けるもの、また、ブレース材に制振装置を設けるもの、基礎下や中間階に免震装置を設置して免震構造とするものなど様々な構法がありますが、KG構法は、以下の優れた特徴を有しています。

《KG構法の特徴》

  • ■既存躯体の加工箇所が限定的であるため、施工時の騒音・振動の発生が少ない
  • ■大部分が外部作業であるため、建物を使いながら補強できる
  • ■補強部材が鉄骨を主体とした乾式の補強構法であるため、工期が短い
  • ■補強部材はブレース材を使用しないため、窓などの開口部を塞ぐことなくシンプルなデザインにすることができる
  • ■建物特性に応じたKGデバイス(制振装置)を選択し、既存建物に最適で優れた補強効果を得ることができる

また、KG構法は、この構法のために新たに開発した摩擦ダンパーの動的実験、接合部単体の加力実験、KGフレームの構造実験などを経て、シミュレーション解析による検証を行うとともに、設計法へと反映した結果、2008年8月、財団法人ベターリビングの一般評定を取得しました。
試設計の結果では、KGデバイス(制振装置)の効果によりKG構法を採用した建物においては、無補強建物に比べて十分な地震時の応答低減効果を確認しています。

東亜建設工業と安藤建設は、いつ起きてもおかしくない地震への備えとして、KG構法をストック市場へ積極的に展開するとともに、次世代への社会資本の受け渡しをめざし、今後も新たな技術提案を継続して参ります。

新開発の摩擦ダンパー「間柱タイプ4面せん断型摩擦ダンパー」

間柱タイプ4面せん断型摩擦ダンパー

  • KGフレームの取り付け状況図 KGフレームの取り付け状況図
  • 補強後の建物外観図補強後の建物外観図