電磁式地中位置探査システムを開発
〜曲線削孔におけるロッド先端位置を高精度に計測〜

2007年05月31日

  • ◆曲線削孔技術の高精度化・迅速化
  • ◆愛知県甚目寺町にて実証実験を実施
  • 削孔後状況削孔後状況

東亜建設工業株式会社は、平成19年1月29日から2月3日にかけて、愛知県甚目寺町内において、当社が開発した電磁式地中位置探査システムを用いて曲線削孔実験を行いました。このシステムは、削孔ロッド先端に装着した発信器から発信される磁界信号を、地表面に置いた受信器により受信することで、ロッド先端位置を3次元方向に検知するものです。今回、初めて削孔機械に装着して曲線削孔を実施し、検出精度の確認を行いました。

●電磁式地中位置探査システム開発の背景

精度の高い曲線削孔を実現するためには、削孔ロッド先端の位置と方向を的確に、そして迅速に捉えることが重要です。従来は、削孔法線上のロッド先端の鉛直上から深度を計測する方法や、ジャイロと呼ばれる計測器をロッド内に挿入して計測するといった方法が採られていました。

しかしながら、これらの方法では、削孔法線鉛直上に構造物があると計測そのものが不可能であったり、計測時にロッド内にジャイロを挿入するために削孔作業を一時中断し、計測しなければなりませんでした。そこで当社では、より効率的で汎用性に優れた削孔の管理を行うために、ロッド先端位置をその鉛直上ではなく3次元的に検知し、かつ削孔作業を中断することなく、短時間で検出できるシステムを開発しました。

電磁式地中位置探査システムの計測機構図

  • PCシステム画面 PCシステム画面
  • 受信アンプ受信アンプ

  • (φ120,温度・傾斜センサー内蔵)

    (φ120,温度・傾斜センサー内蔵)

<システム原理>

削孔ロッド先端に装備した発信器のコイルから発生する交番磁界を地表面に設置した3台の受信器(各々三軸コイル装備)によって受信し、発信器の誘導起電力の強さから発信器の位置(先端位置)を検出するという原理です。

受信器(三軸コイル内蔵)

●削孔実験の目的と成果

これまでに、地表面(2次元)における位置検出実験を繰り返した結果、受信器で受信した磁界信号の特性や受信器の最適な設置位置が明らかになってきました。今回の実験は、発信器を削孔ロッド先端に装着して削孔作業を実施した際の検出動作確認と、地表面(2次元)における磁界信号の特性の3次元における適用性、および検出精度の確認を目的としたものです。

その結果として、N値10程度の飽和砂地盤における削孔作業での検出動作の有効性、及び平面(2次元)における磁界信号の特性を深度方向(3次元)にも同様に適用できることが実証されました。また、検出精度につきましては、削孔距離に対して約2%程度であり、当初の開発目標を達成することができました。

●実験の概要

(1) 実験用地の土質条件
耕作前の田圃地であるが、地表から50p以深は細砂層となる。
削孔予定深度(GL-4m程度)まではN値10程度である。
(2) 削孔機械及びロッド
削孔機械:クローラ式パーカッションドリル
ロッド:曲線削孔用φ75×L3.0m、最小半径R25m
(3) 曲線削孔形状
地表面に対して25度の角度で削孔を開始し、その後半径30mの単円を描くように削孔。
(図-1参照)。

図:1 曲線削孔概要図

図:1 曲線削孔概要図

  • 削孔後状況削孔後状況
  • 削孔機械(クローラ式パーカッションドリル)削孔機械
    (クローラ式パーカッションドリル)

実験状況(削孔法線鉛直上に仮想構造物として鉄板を置いた場合)

実験状況(削孔法線鉛直上に仮想構造物として鉄板を置いた場合)

●今後の展開

今回の実験は耕作前の田圃地で実施したこともあり、土質条件が比較的良好でした。

今後は、より現場条件に近似した削孔実験を重ねることにより、本システムの精度をさらに高めていきたいと考えています。