2006年09月08日
東亜建設工業は、このたび鉄道建設・運輸施設整備支援機構と検討を重ね、チタンシートを用いたコンクリート構造物の表面被覆工法を開発しました。
従来の表面被覆材料は、下水などの強酸性物質に対する耐久性や、衝撃や摩耗に対する問題、紫外線による劣化などの欠点があり、厳しい環境条件下での適用に制約を受けやすいものでした。
これに対して本工法は、従来の被覆工法では適用できない厳しい環境条件下においても、極めて高い耐久性を有するチタンシートを構造物に接着させることによって、酸性河川水を完全遮断し、同時に耐衝撃性や耐磨耗性を有する被覆工法です。この度、本工法を酸性河川中に築造するコンクリート橋脚の侵食対策として初めて適用しました。
項 目 | 試験方法 | 性 能 |
耐酸性 |
塩酸暴露試験 |
pH1の塩酸溶液中に6ヶ月間浸漬してもチタンシートの継手部からの酸による侵食は見られない |
遮塩性 |
表面被覆材の |
チタンシート表面および継手部からの塩化物イオンの浸透は見られない |
耐衝撃性 |
おもり落下試験 |
先端を丸加工したφ32(L=50cm,W=3.16kg)の丸鋼を16cmの高さから落としても2800回まで損傷は見られない(河川流速1m/secで10kg/個の流石が衝突した場合に相当) |
耐摩耗性 |
磨耗輪による |
2000回転までほぼ磨耗が見られない |
付着性 |
付着強さ試験 |
1.5N/mm2以上(標準養生後、耐アルカリ性試験及び酸性溶液浸漬後) |
ひび割れ |
曲げ載荷試験 |
ひび割れ幅が2.5mmまで追従(供試体の下面にチタンシートを貼り付けた供試体の曲げ試験による) |
鉄道建設・運輸施設整備支援機構 鉄道建設本部 東北新幹線建設局
東亜・安藤・丸重特定建設工事共同企業体
酸性温泉水の流れる荒川(pH3程度)の中央部に位置する橋脚
今後は、構造物の新設・既設を問わず、施工環境として水中部にある部材に対しても、本被覆工法が適用できる施工方法を検討していく所存です。
さらに、温泉環境や下水環境、及び海洋環境などの厳しい環境条件下に築造されるコンクリート構造物や、長期の耐用年数が求められるコンクリート構造物を中心として広く活用していただけるように、更なる施工性向上や施工法の改善によるコストダウンを図っていく方針です。