2004年12月15日
P&PCセグメント工法概要図
鹿島建設株式会社、東亜建設工業株式会社、日本国土開発株式会社、三井住友建設株式会社、ジオスター株式会社、住建コンクリート工業株式会社の6社は、平成15年1月より「P&PCセグメントの縦断方向耐震性能に関する共同研究」を実施。その成果をもとに財団法人先端建設技術センターに技術審査証明(内容変更)を依頼し、技術審査証明委員会による審査の後、本年10月25日に審査証明を取得しました。
P&PCセグメント工法の開発は、平成7年10月から東亜建設工業株式会社、日本国土開発株式会社、三井住友建設株式会社、住建コンクリート工業株式会社の4社の共同研究としてスタートし、各種性能試験、実施工を経て平成11年10月25日に財団法人先端建設技術センターの技術審査証明を取得しました。その後、平成15年1月から鹿島建設株式会社、ジオスター株式会社が共同研究に参加し、「P&PCセグメントの縦断方向耐震性能の研究」をテーマとして研究開発を進めて来ました。
今回、審査証明の取得から5年経過して更新時期を迎えたのに際し、上記研究開発の成果をもとに「シールドトンネルの縦断方向にプレストレスを導入することで、地盤変形への追随性に富む」を開発目標に追加し、審査証明を取得したものです。
(1)技術名称 P&PCセグメント工法
(2)審査機関 設技術審査証明協議会会員 財団法人先端建設技術センター
(3)依頼者
(4)技術審査証明委員会の構成
(5)審査証明の結果
今後、今回開発した汎用的解析手法を用いて耐震検討や軟弱地盤における地盤沈下時検討などの実案件の解析を行い、本工法の優位性を確認し、積極的に技術提案していく予定です。
(1)研究の目的
P&PCセグメントは、トンネルの横断面方向あるいは縦断方向に挿入したアンボンドPC鋼より線に緊張力を導入し、セグメントリングを一体化する構造を特徴としている。特に縦断方向については、アンボンドPC構造の特徴として、地盤変形の小さな範囲では、プレストレスの効果によりセグメント本体と同様の高い剛性が得られる上、地盤変形が大きくなると、可とう性に優れたフレキシブルな構造となり、地盤変形への追随性に富んだ壊れにくい構造となる。
本開発の目的は、これらのアンボンドPC構造の特徴を定量的に把握し、P&PCセグメントのトンネル縦断方向の耐震検討、地盤の不同沈下検討での優位性確認、および設計手法を確立することにある。
<縦断方向緊張概要図>
<地盤変形時の挙動 概要図>
(2)研究期間 平成15年1月〜継続中
(3)研究開発フロー
軸方向載荷試験
開発に当たり、まず実験データが豊富にある横断面方向について実験結果と解析結果の整合を確認した上で、縦断方向について解析を行った。また解析手法は、3次元FEM解析とファイバ−モデルを用いた非線形骨組み解析の整合を確認した上で、より解析の容易なファイバーモデル解析を用いて地盤沈下時検討等を行っている。 また性能確認試験は、トンネル縦断方向の剛性を確認する目的で平板供試体を用いた軸方向載荷試験を行っている。
(4)研究結果 一連の研究開発により、以下の知見が得られた。
1、軸方向(縦断方向)載荷試験を行った結果、
a)トンネルに作用する引張力が導入緊張力より小さい場合の剛性は、全断面有効として計算したコンクリートの圧縮剛性と等しい。
b)引張力が導入緊張力を上回ると、PC鋼材の軸剛性に等しくなる。
2、P&PCセグメントの横断面方向および縦断方向の構造を忠実にモデル化して3次元FEM解析を行った結果、等価曲げ剛性は、
a)リング間継手離間前は、セグメント本体の曲げ剛性で、
b)離間後は、圧縮側をセグメント本体、引張側をPC鋼材が受け持つものとして、算定できる。
3、前述の3次元FEM解析結果とファイバーモデルを用いた非線形骨組み解析結果は、梁全体の変形モード、荷重−鉛直変位の関係、軸方向(縦断方向)PC鋼材の荷重−PC鋼材応力度の関係などで両解析手法はほぼ一致している。この結果、実検討業務では解析の容易なファイバーモデルが有効である。
4、P&PCセグメントとボルトタイプRCセグメントについて、軟弱地盤での不同沈下を一例としてファイバーモデルを用いた非線形骨組み解析により比較検討した結果、P&PCセグメントが地盤沈下への追随性に富むことが認められた。
3次元FEM解析結果
(1)技術概要
P&PCセグメントは、あらかじめシースを埋め込んだコンクリート製のセグメントを1リング組み立てた後、セグメントの一つに設けた切り欠き部からPC鋼より線を挿入して緊張定着することにより、プレストレスを導入する新しいタイプのセグメントです。PC鋼より線として摩擦ロスの少ないアンボンドPC鋼より線を使用するため、1周あたり1カ所の片引き緊張で十分なプレストレスを導入できます。
P&PCセグメント構造概要図
(2)工法の特長