2004年03月05日
テーブルアップ・フィーダ
東亜建設工業はこのほど、東亜機械工業株式会社(社長:小幡完治、本社:山口県下関市)、信幸建設株式会社(社長:冨岡亮一、本社:東京都千代田区)と共同で、コンクリート補強繊維などの自動定量供給装置「テーブルアップ・フィーダ」(特許出願中)を開発し、山形県内で当社が施工中のトンネル工事現場において実証実験を行ない、その性能を確認しました。
本装置は、迅速、簡便、正確を兼ね備えた、新発想のテーブルアップ式自動定量供給装置です。
コンクリート剥落事故などを契機として、コンクリートのひび割れに対する社会的な関心が高まっており、コンクリートの剥離・剥落防止方策の一つとして、繊維補強コンクリートの需要増大が見込まれています。
また、第二東名高速道路に代表されるような超大断面トンネルや、二次覆工コンクリートをなくして吹付コンクリートとロックボルトのみにより支保強度を持たせるシングルシェル・トンネルなど、新たな設計思想のトンネルも増えてきており、コンクリートの曲げタフネス向上を目的とした重要な要素技術の一つとしても、繊維補強コンクリートが注目されています。
粉粒体を材料とする分野では、各種の定量供給装置が開発・実用化されています。コンクリートの補強繊維は、鋼製やプラスチック系など、既に数社が開発・商品化していますが、特にプラスチック系のコンクリート補強繊維に代表されるようなアスペクト比が大きい材料※は、材料同士が絡み合う(ダマになる)性質が強く、これを建設現場で取り扱う場合には大がかりなプラント設備が必要となったり、煩雑な準備作業が必要となるなどの課題があり、その定量的な供給方法については、標準的な現場施工技術として確立されたものはありませんでした。
※アスペクト比が大きい材料:縦横比の差が大きい材料のこと。細長い材料のこと。
今回開発したテーブルアップ・フィーダは、非常に簡易な原理でありながら、アスペクト比が大きい材料を、高い精度で自動的に定量供給可能にした装置です。
テーブルアップ・フィーダの原理は、以下の通りです。
テーブルアップ・フィーダ
の原理
1)円筒形容器に昇降可能なテーブル(底板)を装備し、テーブルの上昇に応じてせり上がってきた材料を円筒形容器上部に取り付けたスクレーパー(撹拌羽根)で、円筒形容器の外部周囲に定量的に掻き落とします。
テーブルの上昇速度を加減することで、材料の供給量を調整することができます。
2)円筒形容器の外部には、掻き落とされた材料が飛散しないための外管を、また、円筒形容器の下部には、掻き落とされた材料を受け止めてその流れを整流化するためのホッパーをそれぞれ装備します。これにより、テーブルの上昇とスクレーパーの回転により定量供給された材料を、ホッパー下部に配置した輸送装置へと安定的に供給することができます。
テーブルアップ・フィーダのホッパー下部に配置できる輸送装置としては、ツーセンキ式の空気圧送装置(東亜機械工業の保有技術であるスパイラルフローを応用したもの)、ベルトコンベア、生コンミキサー等の機械装置(バッチャー直投式)、トラックミキサー車等の車輌などが上げられ、様々な施工シーンのほとんどをカバーすることができます。
様々な施工シーンで活用可能なテーブルアップ・フィーダ(用途別使用例)
テーブルアップ・フィーダの特長は、以下の通りです。
今回開発した自動定量供給装置は、繊維補強コンクリートの様々な施工シーン(生コン工場、現場プラント、施工現場等)で活用できますので、繊維補強コンクリート施工現場での作業の簡便性や品質の安定に優れる装置として、関係機関などにも積極的に当装置の活用を提案していく考えです。
また、コンクリート補強繊維のみならず、今後利用拡大が見込まれる木質系バイオマス資源の分野にも応用することも可能ですので、当社では、2004年3月末を目標に、テーブルアップ・フィーダの製品化を目指しています。(製造・販売は、東亜機械工業株式会社を予定)