国土交通省BIMを活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業(実証結果)
スチールドア等の生産サプライチェーンにおけるBIM活用で、
「見積・作図承認・スチールドア生産」の各工数を最大50%削減

2023年04月18日

東亜建設工業株式会社(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長 早川毅)は、建設DXに取り組む野原グループの野原ホールディングス株式会社(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:野原弘輔)、野原産業エンジニアリング株式会社(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:及川通)、と共同で実施した「鋼製建具生産サプライチェーンにおける生産性向上のためのBIM活用方法の検証」(令和4年度 BIM※を活用した建築生産・維持管理プロセス円滑化モデル事業「パートナー事業者型」、実施体制等の詳細は別紙参照)において、以下の通り、実証結果を発表いたします。

※BIM(ビム)とは、国土交通省によれば、「Building Information Modelling」の略称で、コンピュータ上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様・性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築することです。

実証内容 従来手法との比較結果 結果を踏まえた今後の課題
施工BIMとの見積連動による建具メーカーの見積期間の短縮 43%削減 BIMモデルから取得出来るオブジェクト情報とデータベース化された階層コードを如何にスムーズに連携させるか
施工BIMからの建具製作図出力による
@専門工事会社の作図期間短縮、
A施工者(ゼネコン)の承認期間短縮
@Aの各期間トータルで45%削減 チェック期間の短縮が施工者の大きなメリットになる。 BIMモデルから取得できるオブジェクト情報と建具の納まりに関係する建具周囲の情報をいかにチェックしやすい情報として専門工事会社、施工者に提示できるか。
施工BIMからの建具生産工場の
CAD/CAM連動による建具製作期間短縮
工場側の建具製作期間50%削減 承認されたスチールドアオブジェクトの情報と工場バラ図作成に必要な情報をいかにスムーズに連携させるか

【補足】上記に加え、「BIMデータの活用・連携に伴う課題分析」も実施し、国土交通省WEBにて結果公開中です。
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000178.html

【参考】動画での解説・説明も下記リンクより試聴できます。
東亜建設工業 本件担当 中野による実証結果の意義解説
野原HD 本件担当 石田氏による結果説明

鋼製建具の中でも、スチールドアは、開き方や金具の組み合わせにより数えきれないほどの種類があります。オフィスや配送センター、工場、病院、集合住宅などの出入り口(開口部)や防火区間に設置が必要とされます。一方で、従来の見積、製作図の作成、工場生産のプロセスは人の手による作業がほとんどで、生産工場数の減少や担い手不足が深刻化する中では、今後スチールドアの製造需要に供給が追い付かない場合も想定され、システム化が求められる領域でもあります。

今後、東亜建設工業は施工者(ゼネコン)の立場から、野原ホールディングスおよび野原産業エンジニアリングは、スチールドアなどの鋼製建具メーカー及び専門工事会社の立場から、BIM設計-生産-施工支援プラットフォーム「BuildApp(ビルドアップ)」を用い、スチールドアなどの鋼製建具の見積、製作図、工場生産までのプロセスをBIMデータでつなぐ仕組みの構築・改良、サプライチェーン全体(施工者・専門工事会社・メーカー・工場など)の生産性向上を進めます。同時に、国土交通省が主導する「建築BIM推進会議」等において本実証結果を踏まえた提言を行い、「建築分野におけるBIMの標準ワークフローとその活用方策に関するガイドライン(第2版)」の改良や業界内の建具BIM標準化を目指します。

鋼製建具生産性向上を実現するためフローイメージ

建設業界のサプライチェーン変革に向けて

今回、東亜建設工業は建築施工、野原ホールディングスと野原産業エンジニアリングは内装建具の各業界経験・知見をもとに、BIMなどのデジタル技術を活用して、業界が抱える担い手不足、工程間連携に関わる主要課題をサプライチェーン全体(施工者・専門工事会社・メーカー・工場など)で解決していく試みを検証しました。

中野 亘

東亜建設工業株式会社
経営企画本部DX推進部 部長兼DX企画課長 中野亘 より

BIMとは単なる3Dモデルで、可視化できることだけがメリットではなくデータベースであり、それをもっと活用すべきと考えていました。
BIMに含まれている属性情報を使ってこそ、BIMの本来の活用といえます。
今回の取組みは、鋼製建具のサプライチェーンにおいて「BIM=データベース」を活用した取組みそのものです。
現場に建具を設置するためには、設計図、施工図、製作図(姿図、断面図、平面図)というように膨大な量の図面が必要です。
特に施工図、製作図に間違いがないかの確認作業は、私たち元請業者の最も重要な業務の1つです。この確認作業には、従来、2Dの図面を何枚も目視して間違いがあるたびに修正、修正図の確認を繰り返すため、業務時間を多く費やす時期があります。
しかし、今回の取組みのように、「BIM=データベース」を活用すると、1つのデータベースから作成される製作図の確認作業は、間違いが発生することはほぼ無く、図面の確認作業の業務時間が圧倒的に削減されると考えられます。これは、図面確認に責任のあるゼネコンにとっては、まさにプロセス変革です。
設計図から施工図へのデータ展開はBIMで出来るようになってきていますが、今回の取組みのように、施工図から製作図への展開プロセスがBIMを活用して出来るようになることは非常に画期的なことです。
建物を造る為には、様々な関係者が非常に多く関わってきます。ここに最初から最後まで一元管理できるデータベース(BIM)があれば多くのシーンで業務効率化に繋がります。
建築主、設計者、元請業者だけでなく、協力業者まで含んだ、サプライチェーン全体の業務改善、効率化は画期的な取り組みであり、単なるチャレンジではなく、「新しい建設業界の仕組み」をつくるスタートであり、業界の変革、まさにDXの本質的な取組みの第一歩だと考えています。

石田 渉

野原ホールディングス株式会社
建設DX推進統括部 VDC開発センター 部長 石田 渉 氏より

今回の実証プロジェクトは「令和4年度の国交省BIMモデル」として採択された案件でしたので、実施前からBIM実証計画書(BEP)の作成や検証内容に基づく関係者との協力体制など、計画的に進めることが出来ました。
BIMモデルに配置されている各オブジェクトが持つ属性情報は正にデータベースであり、今回の取り組みもスチールドアオブジェクトパーツが持つ属性情報を施工フェーズで如何に有効活用出来るかが大きなポイントでした。
検証結果は、関係各社の連携(実施体制は別紙を参照)とご協力により、概ね想定した結果が得られました。
今後も実証を重ねながら、情報連携の精度を上げ、サプライチェーン全体の課題解決に取り組んで参ります。

BIM設計-生産-施工支援プラットフォーム「Build App」(ビルドアップ)

「Build App(ビルドアップ)」は、設計積算、生産、流通、施工管理、維持管理の5つのプロセスごとに次工程との連携が容易になるサービス群を整備しています。BIMを起点としたデータが、設計から維持管理までの建設プロセス全体と関係者をつなぎます。

BuildApp WEB https://build-app.jp/
お問い合わせ先 フォーム入力 https://build-app.jp/contact/
メール info@build-app.jp 電話 03-6367-1634
担当窓口 野原ホールディングス株式会社 建設DX推進統括部

本件に関するお問い合わせ先

お客さまからの問合せ先
東亜建設工業株式会社
経営企画本部DX推進部
e-mail:toa-webmaster@toa-const.co.jp
TEL:03-6757-3806
野原ホールディングス株式会社
建設DX推進統括部
e-mail:info@build-app.jp
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TEL:03-6757-3821
野原ホールディングス株式会社
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