短時間で設置・撤去できる桟橋調査用軽量ユニット足場「SPIDER WEB STAGE」を開発

2023年01月30日

設置・撤去作業における生産性向上と、急激な気象・海象の変化による損壊リスク低減を、同時に図ることをコンセプトに開発した足場

東亜建設工業株式会社(東京都新宿区:社長 早川毅)は、スターライト工業株式会社(大阪市旭区:社長 西郷骼u)と共同で、桟橋下における上部工の調査等に使用でき、短時間で設置・撤去が可能な「桟橋調査用軽量ユニット足場 SPIDER WEB STAGE」を開発しました。

図1 桟橋調査用軽量ユニット足場「SPIDER WEB STAGE」

開発の背景

桟橋下で調査等の作業を行うには、海上に足場を設置する必要があります。作業足場には、上部工に設置した吊り治具等に支持をとる吊り足場と、鋼管杭の水中部に支持をとるブラケット足場があります。これらの足場の構築には、海上作業の経験者や潜水士といった熟練工が必要となるため、担い手不足が深刻化する今後は、熟練工の確保が難しくなることが予想されます。
また、これらの足場の設置・撤去には時間がかかることから、1箇所の調査が短期間で完了する場合でも、調査対象の全ての箇所にあらかじめ足場を設置し、全箇所の調査が完了するまで長期間存置するのが一般的です。しかし、近年では、台風の大型化や高潮による被害の激甚化など、海洋・港湾構造物の維持管理にとって、これまで以上に過酷な環境に変化してきています。激甚化が見込まれる気象・海象条件で足場を長期間存置すると、足場の損壊リスクが高まります。足場が損壊した場合には、復旧作業などの手戻りが生じ、調査等の生産性が大きく低下します。
そこで、調査等の短期間で完了する作業を主たる対象にして、同じ作業日に設置・撤去ができる足場「SPIDER WEB STAGE」を開発しました。本足場では、軽量かつユニット化された部材を用いるため、作業員2名で30分以内に設置(または撤去)を行うことができます。これにより、足場の設置・撤去作業の生産性向上と、急激な気象・海象変化による足場損壊リスクの低減を、同時に図れるようにしました。

足場の概要

本足場は、3種類のユニット化された部材(締付リング、張出足場、連結足場板)で構成され、桟橋下ではこれらを連結する作業のみを行います。連結作業は、ボルトを挿入するだけなので、特殊技能を有しない普通作業員によって、特殊な設備・機械を用いずに、筏(いかだ)の上で容易に行うことができます。

図2 設置手順

締付リングは、クッション性のあるポリウレア樹脂で補強された特殊発泡体とアルミ製L型鋼材で構成され、アルミ製L形鋼材間の離隔をボルトで調整して発泡体を杭に押し付けることで、足場を支持する部材です。また、締付けリングを支持点として長さ2mの張出足場を放射状に配置し、連結足場板で連結することにより、杭を中心に25m²程度の作業床を展開します。なお、本足場は、作業員2名が同時に作業床上で作業を行えるように設計しています。

図3 締付リングの構造

図4 張出足場の構造

図5 凍結足場板の構造

足場の特長

ユニット化により設置時間を短縮

墜落落下防止措置も含めて、作業員2名で30分以内に設置が可能です。

各ユニットを軽量にして省人化を実現

各ユニットの重量は締付リング22kg、張出足場17kg/基(合計6基)、連結足場板11kg/基(合計6基)であり、1名で持ち運びが可能です。

支持点の高さを選ばない

手が届く位置であれば、どの高さでも足場を展開できます。また、足場の支持点にクッション性のある発泡体を使用するため、FRPカバー等の被覆防食工を傷つけません。

本足場の適用例

本足場は、近接目視、打音、コア採取、非破壊試験などの調査や、小規模なはつり作業、鋼管杭の被覆防食工の簡易な補修作業などにおいて活用することができます。また、上部工に手が届かない場合に、長期間存置を必要とする補修工事用の吊り足場の吊環等を設置するための作業床としても使用できます。

今後の展開

今後は、短期間で完了する調査や簡易な補修等の作業の効率化につながるよう、海上工事への適用を推進していきます。また、現状では、適用できる杭の対象が、杭径φ600mmからφ812mmの直杭に限定されていますが、今後は大口径の杭や斜杭への適用拡大を図っていきたいと考えています。

本件に関するお問い合わせ先

東亜建設工業株式会社 経営企画本部 経営企画部 広報室 北川 欽一
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