打設中の鋼管杭の鉛直度をリアルタイム計測
「鋼管杭鉛直度管理システム」を開発

2015年01月08日

東亜建設工業株式会社(東京都新宿区:社長 松尾正臣)と信幸建設株式会社(東京都千代田区:社長 木田正弘)は、打設中の鋼管杭の鉛直度をリアルタイムに計測できる「鋼管杭鉛直度管理システム」を開発しました。

開発の背景

バイブロハンマを使用した鋼管杭打設における鋼管杭の鉛直度確認方法としては、トータルステーションやセオドライト等の測量機器を使用した計測や、適宜施工を止めた上で、鋼管杭に直接傾斜計をあてて計測することが一般的です。

しかし、この方法では、打設中の定量的な傾斜値をリアルタイムに計測できないため、鉛直度に対する誤差や傾斜傾向を捉えることが困難です。

そこで、これらの問題を解決するため、連通管の原理を応用した鋼管杭鉛直度管理システムを開発しました。

本システムの活用によって、従来の手法では計測できなかった打設中の鋼管杭の鉛直度(傾斜度)がリアルタイムかつ定量的に計測可能となります。これにより、施工中の早い段階で鋼管杭の鉛直度修正が可能となり、施工精度および施工効率が向上します。

「鋼管杭鉛直度管理システム」による鋼管杭打設状況及び概念図

本システムの概要

本システムは、鋼管杭の4方向に取り付けられた計測器の上面から液面までの高さを耐振動性・防水型センサを用いて計測することにより、鋼管杭の鉛直度を求めるシステムです。図に示すように、鋼管杭に対して向かい合って設置された計測器同士を連通管(水・空気)で接続することにより、計測器内の水が移動し、鋼管杭の傾斜に伴い変化する水頭差を計測して鉛直度に換算します。

鋼管杭の傾斜(θ)は、センサの取付幅(L)、計測器の上面から液面までの高さ(H1、H2)を用いてtanθ=(H1−H2)/ Lとして求めることができ、直径1mの鋼管杭において約0.003º(tanθ=1/16667)の精度で鉛直度計測ができます。

耐振動性を有するセンサを採用したことによって、打設中に発生するバイブロハンマの振動下でも施工中の鋼管杭の鉛直度をリアルタイムに計測することができます。

本システムの特長

  • (1) 耐振動性のあるセンサを搭載することによって、打設中の鋼管杭の鉛直度をリアルタイムに計測することができます。
  • (2) 防水型センサを搭載することによって、水面下まで打設した後も計測することができます。
  • (3) 高精度な耐振動性・防水型センサを使用することによって、直径1mの鋼管杭の場合0.003ºの精度で計測できます。
  • (4) 任意の径の鋼管杭に取り付けることができます。
  • (5) 10Gの加速度を連続して与えても破損しない耐久性を有します。

今後の展開

現場への導入実績を積み重ね、施工精度・信頼性を向上させると共に、現在開発中である鋼管杭の回転量検出機能を追加し、検出精度の検証を行っていきたいと考えています。

本件に関するお問い合わせ先

東亜建設工業株式会社 広報室 清水
TEL:03‐6757‐3821 / FAX:03‐6757‐3830