グラブ浚渫工における施工効率の向上を目指して
「パラレット工法」を開発

2014年12月03日

東亜建設工業株式会社(東京都新宿区:社長 松尾正臣)は、浚渫工事で使用するグラブバケットのラップ量を減少させることで、グラブ浚渫の作業効率を改善する「パラレット工法」を開発しました。

開発の背景

港湾において、航路や泊地の水深維持を目的に行われる浚渫工事では、主にグラブ浚渫船が使用されています。グラブ浚渫船は、クレーン船などと同様にブームを旋回することによって、グラブバケットを所定の位置へ誘導することで、土砂を掘削します。一定の範囲を掘削する際は、同一旋回半径内で掘削位置を移動し、掘り残しを防ぐために掘削位置をラップさせます。しかしながら、グラブバケットの方向が変えられず放射状の掘削となるため、ラップ量が多くなり作業効率が低下していました。

そこで当社は、グラブバケットの角度を任意に調整してラップ量を減少させ、作業効率を改善させる「パラレット工法」を開発しました。

「パラレット工法」は、自動割り付けした掘削位置にグラブバケットを誘導し、地盤に爪型ツースを貫入させた後、施工支援システム画面の指示に従いブームを旋回することによってグラブバケットを回転させて掘削します。これにより、掘削位置のラップ量を抑制し、効率的な浚渫を可能としました。

図1 従来工法とパラレット工法の掘り跡の比較

図2 爪型ツース付グラブバケットの構造イメージ

工法の概要

本工法では、グラブバケットに装備した爪型ツースを地盤に貫入させ、ツースを支点としてグラブバケットを回転させることにより、ラップ量を抑えた施工が可能となります。

1旋回あたりの掘削箇所は、掘削位置自動割り付け機能によって、作業船の位置とブームの起伏角度をもとに計算し、施工支援システム画面上に表示されます。同一画面上には爪型ツースの貫入位置と着底時のブーム位置も表示されます。

グラブバケットは、GPSを使用して掘削位置へ高精度に誘導可能であり、グラブバケットの水中位置は、水圧式深度計内蔵のトランスポンダにより確認することができます。また、トランスポンダ内部に組み込まれたジャイロセンサによりグラブバケットの角度を検知し、回転させる方向及び回転量を自動で決定することが可能です。

【施工手順】

① 掘削位置自動割り付け機能により、掘削位置を割り付けます。

② ブーム先端に設置したGPSにより、目標とするツース目標貫入位置へグラブバケットを誘導します。

③ グラブバケットを水中に降下させ、GPSの位置情報からツース位置を誘導し、地盤に貫入させます。

④ ツース貫入後、施工管理システム画面に表示されるブーム位置に従い、ブームを旋回させることにより、グラブバケットを回転させます。回転量は、トランスポンダに内蔵した耐振動性ジャイロセンサにより検知・確認します。

⑤ 所定の角度で掘削を行います。

⑥ ②〜⑤の手順を繰り返し、自動割り付けされた1旋回あたりの掘削を行います。

パラレット工法の特長

  • (1) 特別な機構や大掛かりな装置を必要としないので、一般的なグラブ浚渫船に適用できます。

  • (2) グラブバケットに設置した耐振動型ジャイロセンサ内蔵のトランスポンダを使用することにより水中三次元誘導及び回転制御が可能であり、ラップ量を一定にすることで作業効率が向上します。

  • (3) グラブ浚渫船の配置とブームの起伏角度を基に、最適な掘削位置が自動割り付けできます。

今後の展開

現場への導入を通して実績を積み重ねると共に、さらなる施工効率の向上に向けた開発を行います。

本件に関するお問い合わせ先

東亜建設工業株式会社 広報室 清水
TEL:03‐6757‐3821 / FAX:03‐6757‐3830