「水中騒音振動監視システム」を開発
〜海洋工事における海の生き物への影響を監視〜

2012年07月19日

東亜建設工業(東京都新宿区:社長 松尾正臣)は、有限会社アイオーテクニックと共同で、海洋工事に伴い発生する水中での騒音・振動を測定・監視するシステムを開発しました。

「水中騒音振動監視システム」開発の背景

世界的な健康志向の高まりや新興国の経済発展に伴い、水産物需要が拡大しており、我が国の周辺海域においても水産資源の適正な管理と安定供給が課題となっています。

海洋工事では、漁場に近い海域が施工区域になることも少なくなく、当社では、従来より、海域での濁りの発生防止や生態系の保全など、環境負荷低減に取り組んできました。

今回、新たな取り組みとして、沿岸域の豊かな生態系を維持しつつ、持続的な漁業・食料供給を支援するために、海洋工事に伴い、海の生き物へ影響を及ぼさないよう水中の騒音・振動を監視する「水中騒音振動監視システム」を開発しました。

開発にあたっては、海の生き物を対象とした水中騒音振動の規制基準が設けられていないため、漁獲対象となるアサリやサザエなど代表的な沿岸域の生き物が、振動に対してどのように反応するのか社内での実験を重ね、その結果と社団法人日本水産資源保護協会の資料を参考に管理基準を設けました。

「水中騒音振動監視システム」の概要

本システムの概要は次の通りです。

  • (1)水中に設置した計測器(騒音計・振動計)により水中の騒音・振動を自動測定。
  • (2)洋上ブイに設置した通信制御装置により測定したデータをサーバーへ自動送信。
  • (3)サーバー内の解析装置により測定データを自動解析。
  • (4)騒音・振動の解析データを、インターネットを介して事務所のパソコンや携帯電話から監視。また、管理基準を超えないよう、現場担当者の携帯電話に警報メールを設定することも可能。

東京湾の鋼管矢板打設工事では、本システムにより水中の騒音・振動を監視し、管理基準内で魚介類に影響のないレベルで施工が行われたことを確認しました。

システムの概要図

システムの概要

「水中騒音振動監視システム」の特長

「水中騒音振動監視システム」には、次の特長があります。

  • (1)インターネットを介してパソコン・携帯電話で測定データを確認することができるため、現場・事務所など複数の場所から複数人で監視が可能です。
  • (2)水中の騒音・振動が自動計測(これまでは作業員による計測)され、測定データが自動解析されるため、計測費用の削減が可能です。
  • (3)計測器は軽量であり、かつ設置が人力で簡単にできるため、計測点の移動が容易です。
  • (4)工事内容によって異なる測定条件(計測範囲、演算処理、等)を工事現場・事務所のパソコンから遠隔操作できるため、工程や工種に応じた適切な監視ができます。
計測器の概要図

計測器の概要

現地適用事例

  1. 発注者
    :国土交通省 関東地方整備局
    工事概要
    :東京湾における鋼管矢板打設工事

本件に関するお問合せ先

東亜建設工業株式会社 広報室 小川 信行、渋谷 敏行
TEL:03-6757-3821 / FAX:03-6757-3830