法面を高い精度で浚渫する『法面浚渫ワイドグラブバケット』を開発

2012年02月07日

東亜建設工業株式会社(東京都新宿区:社長 松尾正臣)は、法面形状に合わせた浚渫を可能とする「法面浚渫ワイドグラブバケット」を開発しました。

開発の背景

当社はこれまで、特殊密閉型バケットとして、汚染底泥除去用に開発した「スーパーグラブバケット(ワイヤー型6m³・バックホウ型1.3m³)」や、仕上げ掘り時の薄層浚渫を効率的に行う「ワイドグラブバケット」(25m³)を開発し、グラブ浚渫工事において、環境負荷低減と浚渫効率の向上に取り組んできました。

今回開発した「法面浚渫ワイドグラブバケット」は、階段状に浚渫していた従来工法よりも、法面の勾配に合わせてバケットを傾斜させることで、法面との接地面が大きくなり、浚渫時の余掘量の低減や含泥率の向上を図ることができ、仕上げ面の安定性の向上が期待できます。このバケットは傾斜機能に加え、従来バケットが持つ密閉機構も採用しており、浚渫面の高い精度による仕上げと汚濁防止による環境負荷の低減を両立します。

作動図

傾斜の原理

バケット吊り下げ用の可動式上部ブロックを水平方向に移動させ、バケットの吊り位置をバケット中心線上から離すことで、バケットを傾斜させることができます。バケット開閉用シーブはピンで本体と連結されているため、開閉用ワイヤーは常に垂直に保持することが可能となり、バケットをスムーズに開閉することができます。傾斜角度は水平から1:3までの5パターンに対応可能です。

1:3勾配時の上部ブロック位置

水平時の上部ブロック位置

傾斜の原理の図

本工法の特長

本工法の特長を以下に示します。

  1. @法面角度に応じてバケットを傾斜させることにより、法面掘削時の余掘り量を低減します。
  2. A法面部の土砂を効率的にバケット内に取り込むことで、含泥率が向上します。
  3. Bグラブバケット自体を傾斜させるため、装着にあたってグラブ船の改造が不要です。
  4. C傾斜角度は、水平、1:6、1:5、1:4、1:3の5パターンに対応できます。
  5. D「薄層浚渫支援システム」と組み合わせることにより、さらに精度の高い浚渫が可能です。
  6. E濁りの発生を低減することができる密閉型グラブです。
  7. F一般的な大型グラブ船(23m³級)に装着可能です。
  8. G従来のワイドグラブバケット同等の最大開口面積(31.2m²)を有しているため、浚渫地盤の面積を広く切り取ることができます。

今後の展開

今回、当社が開発した「法面浚渫ワイドグラブバケット」(ワイヤー型25m³)は、同じく当社が開発したスーパーグラブバケット、ワイドグラブバケットの特長を活かした発展型です。今後も、施工区域の法面形状に応じて、これらのグラブバケットを効果的に採用し、多様な浚渫工事の施工性向上に努めていきます。なお、この度受注した、大阪北港南地区航路(-16m)浚渫工事(第二工区)【国土交通省近畿地方整備局発注】で使用予定です。

水中写真