ピン接合形式による外付け耐震補強構法『KG構法』
―適用建物の拡大を目指し再評定を取得―

2012年02月01日

東亜建設工業株式会社(東京都新宿区:社長 松尾正臣)と安藤建設株式会社(東京都港区:社長 野村俊明)は、両社の業務提携の一環として共同開発し、2008年8月に一般評定を取得したピン接合形式の外付けフレームによる補強構法『Key Grid構法』(以下、KG構法)について、適用性の拡大を目的とした項目の追加・変更評定を財団法人ベターリビングに申請し、この度、一般評定(再評定)を取得しました。

KG構法について

KG構法は、既存建物の外側に鉄骨造の補強フレーム「KGフレーム」を新設し補強するものであり、既存フレームとKGフレームの接続にはピン装置「KGピン」を用いています。また、KGフレームは、既存躯体から伝達された地震エネルギーを、KGフレームの柱中間に設置したエネルギー吸収部材「KG デバイス」で消費するものであり、既存躯体の耐震性能を大きく向上させる制震構造となっています。

KG構法の特徴

本構法の構造的特徴は、既存フレームとKGフレームをピン接続し、せん断力のみを伝達する機構としているため、KGフレームには付加的な曲げ応力が発生しないことであり、制震構法として以下の優れた特徴を有しています。

  1. @既存躯体の加工箇所が限定的であるため、施工時の騒音・振動の発生が少ない
  2. Aほとんどが外部作業であるため、建物を使いながら補強できる
  3. B補強部材が鉄骨を主体とした乾式の補強構法であるため、工期が短い
  4. C補強部材はブレース材に頼らないため、窓などの開口部を塞ぐことなくシンプルなデザインにすることができる
  5. D建物特性に応じたKG デバイスを選ぶことができるため、既存建物に最適で優れた補強効果を得ることができる

KG構法の詳細につきましては、東亜の技術をご覧ください。
≫KG構法−外付けフレームによる制震補強構法

適用性の拡大を目的として追加・変更した項目

本構法について、今回、適用性を拡大することを目的に追加・変更した項目は、バルコニーなど跳ね出し床への適用、静的設計法での設計の2点です。また、これまで開発2社のみが施工可能であった限定構法を広く一般に開放することができる構法実施体制の拡大も図りました。

期待される効果

今回の追加・変更により、KGピンの取り付け位置を柱梁接合部に限定していたために適応が難しかった、バルコニー付き建物への採用が可能となりました。これに伴ない、これまで主に学校や病院施設での耐震補強工事への適用が中心であった本構法について、適用建物の制限をほぼ撤廃することができ、今後、耐震補強工事の需要が増加すると予想されるマンションへの適用も可能となりました。

また、設計法の追加により、これまでの地震応答解析による動的設計のみでなく、通常の静的設計による設計を可能としたことで、設計に要する期間を短縮することができます。

当社と安藤建設は、重要な社会資本である学校や住宅等のストック建築物の耐震補強促進に貢献するために、今回改良したKG構法をより一層ストック市場に普及できるよう、積極的な営業展開を進めてまいります。

参考資料
図1 構法の概要図(一般)

一般の図

図2 構法の概要図(跳ね出し床がある場合)

跳ね出し床がある場合の図

写真1 KGピンの躯体への取付け状況

KGピンの躯体への取付け状況の写真