2010年03月18日
東亜建設工業株式会社(東京都新宿区:社長 鈴木行雄)は、環境に配慮し、エネルギーを効率的に利用する次世代作業船として、デコム工法専用船である深層混合処理船「黄鶴」を建造しました。
デコム工法(Deep Cement Continuous Mixing Method)は、
セメント系硬化剤と軟弱土を攪拌混合・固化させ、軟弱地盤を堅固な地盤に改良する工法です。水面下50m以深の海底地盤まで改良ができ、早期に安定した強度が得られるため、大規模な構造物を建設する際の地盤改良工事で多く採用されています。
一般呼称は、CDM工法(Cement Deep Mixing Method)。
当社グループは現在、大型船(5.7m2級注1))2隻、中型船(4.6m2級)1隻、そして、
小型船(2.2m2級)2隻のデコム船を保有していますが、一部機体が老朽化していること、さらには、国内港湾施設の大水深化・耐震化が進む今後の市場を睨み、大型デコム船「黄鶴」を建造しました。
建造にあたって、エネルギーの高効率化と自然エネルギーの利用を組み合わせた「作業船ハイブリッドシステム」を開発しました。本船は、このシステムを搭載した環境配慮型の作業船第一号です。
注1) 1回の施工で可能な改良面積
注2)燃料を用いて発電するとともに、その際に発生する排熱を冷暖房や給湯、蒸気などの用途に有効利用する省エネルギーシステムのこと。
船体仕様 | 処理機 | |||||||||||
長 | 幅 | 深 | 吃水 | 塔高 (WL) |
改良 面積 |
攪拌 軸数 |
改良 深さ |
処理 能力 |
処理機 位置 |
駆動 方法 |
重量 | トルク |
m | m | m | m | m | m2 | 本 | 水面下m | m3/hr | - | - | t | kg-m |
70.0 | 32.0 | 4.5 | 2.65 | 61.0 | 5.47 | 4 | 52.0 | 90以上 | 前方 | 電動 | 275 | 7,500 |
機関 | プラント | |||
全装備機関出力 | セメントサイロ | ミキサ | アジテータ | グラウトポンプ |
kw | t×基 | m3×基 | m3×基 | l/min×基 |
4,408 | 300×4 | 3.0×2 | 13×1 | 440×8 |
国内における地震対策、軟弱地盤対策、海底地盤の遮水性能確保の必要性は、今後ますます高まってくるものと思われます。当社はこれらの様々な地盤改良工事に対し、環境に配慮した深層混合処理船を使って技術提案を行っていく予定です。また、今回開発した「作業船ハイブリッドシステム」の機能をさらに向上させ、地球温暖化の防止に向けて貢献して行きます。
■深層混合処理船「黄鶴」全景