2009年06月29日
港湾や湖沼における工事では、潜水士による潜水作業を伴うことがあります。水中で行われる潜水作業は、気中での作業に比べて作業効率が落ちるため、様々な要因による潜水事故が発生する可能性があります。特に長時間・大深度の潜水作業による減圧症 注1)は常に予測される危険としてあげられます。
減圧症を防ぐためには、水面に浮上する前に、潜水作業時の深度(=水深)・時間に応じた規定の深度で、体内に溶け込んでいた窒素を排出する減圧時間を設ける必要があります。そのため、潜水士船に同乗している連絡員は、潜水深度や潜水時間などの作業情報を把握し、潜水士と連絡して潜降及び浮上を適正に行わなければなりません。
しかしながら、従来の潜水作業においては、潜水深度については潜水士の自己申告により減圧を実施することもあり、勘違いや誤認識によって減圧症を発症する危険性がありました。
このような背景から、潜水時の作業情報から正確な減圧深度・減圧時間を計算し、連絡員、潜水士双方で認識することで、潜水士の減圧症を予防する「減圧管理システム」を開発しました。
注1)減圧症とは
潜水作業の高気圧環境から、水面に浮上し常圧環境に戻る際に、血液中に溶け込んでいた窒素ガスの気泡が生じ、血管を閉塞して発生する障害のこと。
今回開発した「減圧管理システム」により、潜水士の作業情報をリアルタイムに把握することができるようになり、さらに、減圧時間を迅速かつ正確に計算することが可能となりました。潜水業務の管理において安全性の確保というニーズに応えるシステムとして、現場での幅広い運用が期待されます。
■「減圧管理システム」フロー図