『コンクリートのトータル打設管理システム』を開発
〜安定した品質のコンクリート打設を実現〜

2009年02月09日

  • ◆運行・品質管理情報をリアルタイムに共有
  • ◆品質管理試験結果を製造工程へ迅速にフィードバック
  • ◆共有する正確な情報に基づいた時間管理

東亜建設工業(社長:鈴木 行雄)は、コンクリート打設作業において、関係各所を連携する情報ネットワークを構築して、運行・品質管理情報をリアルタイムに共有できる『コンクリートのトータル打設管理システム』を開発しました。
本システムを使用することで、安定した品質のコンクリートの打設が可能となります。

開発の背景

従来から、コンクリートを打設する際には、生コン車の運行管理やフレッシュコンクリート品質管理等の情報を、携帯電話や無線機を使って、出荷工場と打設現場との間で頻繁に連絡を取り合います。しかしながら、これらの伝達手段では、一部の担当者に情報が集中する、情報が誤って伝わるリスクが存在するなど、円滑にコンクリート打設作業を行う上での課題がありました。
このような背景から、簡易な情報の伝達・共有ツールとして、ネットワークを構築して、運行・品質管理の両面において、正確な情報をリアルタイムに共有することで、コンクリートの品質を確保する打設管理システムを開発しました。

システム概要

本システムは、コンクリート打設作業において、出荷工場、荷卸し箇所、現場事務所それぞれにPCを、打込み箇所にはPDA端末を配備して、携帯電話やPHSなどの通信機器を利用したコンクリート打設管理ネットワークを構築します。
このネットワークにより、運行・品質管理の両面において、関係各所が正確な情報をリアルタイムに共有することができます。

システム概要

システム内容

本システムによるコンクリート打設作業において、以下の運行・品質管理情報の共有化を実現することにより、コンクリート構造物の品質向上を図ります。

システム内容

システム内容

システムの特長

  1. 正確な情報をリアルタイムに共有
    インターネット回線によるネットワークを構築して、正確な情報をリアルタイムに共有することができるため、迅速な対応が可能となります。
  2. 品質管理試験結果をフィードバック
    現場での品質管理試験結果が、出荷工場にリアルタイムに送信されるため、製造工程への迅速なフィードバックが可能となり、高品質のコンクリートを製造・供給することができます。
  3. 時間管理による品質の確保
    生コンの製造時刻、運搬・待機状況を把握することで、打込み完了までの時間を正確に管理することができます。また、打設箇所、各コンクリート層ごとの打込み終了時刻を予測することで、上層の打重ね時間の間隔を正確に管理して、コールドジョイントの発生を防止することができます。
  4. 大量打設にも対応可能
    PDA端末やPCを容易に増設することができ、コンクリートの大量打設時におけるポンプ車の台数増や、出荷工場が2箇所以上となる同時供給にも対応することができます。
  5. データの管理記録作業の省力化
    生コン車ごとの運行状況(出荷時刻,荷卸し開始・完了時刻など)や打込み場所がデータ保存できるため、トレーサビリティ管理が可能です。また、品質管理試験結果、打設順序や打設作業全般についての時間履歴がデータ保存できるため、現場における管理記録作業が省力化され、打設作業への円滑な指示・指導が可能です。

尚、本システムは、合成構造沈埋函用の特殊コンクリート(高流動・中流動コンクリート)の運行・品質管理として開発した、GPSとPDAを組み合わせた「沈埋函トータル打設管理システム」を一般のコンクリート構造物工事へ適用するために開発したシステムです。

施工実績

(1)工事名:八戸港(受託)東通東防波堤外本体工事
発注者:国土交通省 東北地方整備局
:ケーソン製作工事
(2)工事名:北陸新幹線上越今泉高架橋(施工中)
発注者:(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構
:鉄道高架橋工事
(3)工事名:北陸新幹線富山水橋新堀高架橋(施工中)
発注者:(独)鉄道建設・運輸施設整備支援機構
:鉄道高架橋工事

今後の展開

今回開発したシステムにより、高品質のコンクリートの打設が可能となります。
今後は、適用現場を拡大し、施工現場での導入を通して、システムの改善を図るとともに、製造・運搬・受入・施工の作業サイクルに新たな管理機能を追加するなど、さらなるコンクリートの品質向上に寄与するトータル打設管理システムとして拡張を進めていきます。