フッ素汚染土の不溶化処理工法を開発
〜産業廃棄物処分場跡地に存在するフッ素汚染土の不溶化処理として適用〜

2007年05月28日

  • ◆フッ素の不溶化と土質改良(固化処理)を同時に実現
  • ◆環境基準値の2〜3倍程度のフッ素を環境基準値(0.8mg/l以下)に抑えることが可能

不溶化・固化処理の施工状況
不溶化・固化処理の施工状況

東亜建設工業は、このたび村樫石灰工業(株)(栃木県佐野市:村樫信行社長)と共同で、アルミニウム系不溶化材(ランドライムQS-F)を用いたフッ素汚染土の不溶化処理工法を開発しました。
本工法は、土質改良機等の混合機械を用いて、同じく当社と村樫石灰工業との共同開発であるランドライムQS-Fをフッ素汚染土に適正な配合量で均一に混合攪拌することにより、フッ素の不溶化効果と土質改良(固化処理)効果を同時に発揮させることが可能です。このたび、本工法を産業廃棄物処分場跡地に存在するフッ素汚染土の不溶化処理として適用しました。

●処理工法の概要

不溶化処理の施工は次の要領にて行います。

(1) 前処理
押土・集積した汚染土砂を振動ふるい機にかけて、土砂中の岩塊・異物などを除去して不溶化処理が確実にできるように前処理を行います。
(2) 不溶化・固化処理
自走式土質改良機を用いて、アルミニウム系不溶化材(ランドライムQS-F)を汚染土に適正な配合量で均一に混合攪拌して不溶化・固化処理を行います。
(3) 処理土の利用
不溶化・固化処理を行った土砂は、同一現場にて再利用されるか、もしくは場外へ搬出されます。

施工フロー図

施工フロー図

●工法の特長

(1) 汚染土の大量処理にも対応可能
ランドライムQS-Fが粉体のため、同様に粉体であるセメントを使用する土質改良機等を効率的に活用することができ、汚染土が大量であっても対応することが可能です。
(2) 不溶化材の汚染土に対する均一な混合が可能
本工法では、地盤改良等のセメント安定処理で用いる土質改良機を使用してランドライムQS-Fの混合攪拌を行うため、汚染土に対して適正な配合量で均一に混合することが可能です。
(3) 不溶化と土質改良(固化処理)を同時に行うことが可能
ランドライムQS-Fはフッ素の不溶化だけでなく強度発現にも寄与するため、一度の処理でフッ素の不溶化と土壌の土質改良(固化処理)を同時に行うことができます。

不溶化材の配合試験結果

不溶化材の配合試験結果

  • ※フッ素溶出試験は環境庁告示第46号法に準拠
  • ※材令(ざいれい):不溶化材を混合してからの期間

●フッ素不溶化材について

ランドライムQS-Fは主に石灰系固化材「固化材成分;ランドライムQS-F(A)」とアルミ系固化助剤「固化助剤成分;ランドライムQS-F(B)」で構成されています。固化処理対象物に含まれる水などを介して反応し、固化する際にアルミニウム系水和物の生成を促進させます。

この水和物の生成によって、

  • ○生成する水和物の中にフッ素を封じ込める
  • ○水和物中に土壌の水分を取り込み、含水率を低下させる
  • ○生成する水和物が土壌の強度を増進させる

等の効果を発揮し、フッ素の不溶化と固化処理を同時に実現します。

●施工実績

  • 施工場所 産業廃棄物処分場の跡地
  • 処理土量 約30,000m3

●今後の展開

今後は、更なる施工性向上のために施工方法の改善や不溶化材の改良等を行い、コストダウンを図っていく方針です。

また、不溶化材については、フッ素以外にも適用可能な重金属および土壌性状の確認を行い、工法の精度やバリエーションを高めていくとともに、不溶化効果の長期安定性についても引き続き確認を行い、より確実性の高い工法にして行きたいと考えています。