2006年08月04日
東亜建設工業と、株式会社環境総合テクノスは共同で、マルチ周波数型EM探査法※1と原位置試験(コーン貫入試験※2等)を組み合わせた、岸壁・護岸背面地盤内の空洞・ゆるみ箇所の調査手法を開発しました。この調査手法により、従来用いられてきた地中レーダー探査等では対応が困難であった地下水位以下の空洞・ゆるみ域の調査を可能としました。
今後当社では、この診断結果をもとに、対策工法の選定および対策範囲の決定など、合理的な対策方法をご提案してまいります。
近年、埋立て土砂が岸壁・護岸の隙間から吸い出されることによって、埋立て砂地盤の局部的な陥没・沈下が発生する被害が多くの岸壁・護岸で報告されています。このような被害は、建設から10〜20年以上経過したケーソン式岸壁・護岸等にみられ、その対策が必要とされています。
このような被害箇所において、有効な吸い出し対策を検討するためには、吸い出し箇所と範囲の特定が重要です。従来の調査法としては、地中レーダー法やS波浅層反射法などが用いられています。しかし、一般に吸い出し箇所は地下水面以下に存在することや調査域にはケーソン等の構造物が存在するため、これらの手法では、地下水位以下の調査は対応が困難(地中レーダー)、ケーソン等のコンクリート構造物の影響をうける(S波浅層反射)等、有効な調査法がありませんでした。
今般、ケーソン式岸壁背面地盤を対象に実証実験を実施しました。当該箇所はケーソン目地からの吸い出しにより、背面地盤に陥没が見られ岸壁前面海底部に流出砂が確認されています。対象としたのは、吸い出しを受けている箇所(未対策箇所)と背面地盤を砂杭により締め固めた箇所(健全な箇所)の2箇所です。図1に平面・断面図を示し、図2に当該調査法により得られた比抵抗〜相対密度関係を、図3に未対策箇所と健全な箇所の比抵抗分布を示します。
調査結果より、未対策箇所では空洞・ゆるみ箇所の存在が認められ、健全な箇所では空洞・ゆるみ箇所の存在が認められないのがわかります。
図1 平面・断面図(標準断面)
図2 比抵抗〜相対密度関係
図3 比抵抗分布図(25Ωm以下が空洞・ゆるみ域)
<適用実績>
<対策工事実績>
当社では、本調査法を用いて、吸い出しによる空洞・ゆるみ域の範囲・大きさを診断し、この診断結果をもとに、対策工法の選定および対策範囲の決定など合理的な対策方法をご提案してまいります。