「社会安全・防災チーム」を発足
―「社会安全」をテーマに防災分野で積極的な取組み―

2005年12月26日

  • ◆防災分野に対する取組みを更に強化
  • ◆2006年1月よりチーム発足
  • ◆キーワードは、社会安全・防災・BCP(事業継続計画)・CSR(企業の社会的責任)

東亜建設工業は、安心・安全な社会作りに寄与するため、技術開発・設計・土木施工等多岐に亘る専門家を結集して「社会安全・防災チーム」を2006年1月付けで発足させ、防災分野にこれまで以上に積極的に取組む体制を整えます。

●背景

昨年12月26日に発生し22万6千人余の死者・行方不明者を出したインドネシアスマトラ沖地震を契機として、我が国の公共セクターにおいては、東南海・南海沖地震等を想定した沿岸域防災対策の必要性が改めて叫ばれています。

また、民間セクターにおいては、内閣府が今年8月1日に提唱した「事業継続ガイドライン―わが国企業の減災と災害対応の向上のために」にあるように、大規模自然災害発生時に社会経済のダメージを最小限に食い止めるための事業継続計画(BCP)の策定が、企業の社会的責任(CSR)の一環として求められています。

当社はこれまでも、長年培ってきた海洋土木技術、軟弱地盤改良技術を活かして、我が国の自然災害防止及び災害復旧に大きな役割を果してきました。

津波対策として世界最深(−63m)、延長1,960mのスリットケーソン式混成堤を構築する釜石湾口防波堤事業(昭和53年度着工、平成18年度完成予定)において、当社は海洋土木の第一人者としての技術を発揮し、リーダー的な役割を果たしてきました。

また、平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大地震では、臨海部に立地する多くの港湾施設が被害を受けましたが、当社は全国から技術者・資機材を結集し、36箇所に及ぶ港湾施設・道路・河川・製造施設などの早期復興を成し遂げました。この中には、地震による岸壁倒壊により原料枯渇の危機に瀕した製鉄所の原料岸壁を、半年の突貫工事で復旧させ、高炉停止という最悪の事態を回避した工事や、荷役施設の被災により事業継続が困難になった穀物輸入会社の桟橋を早期に復旧し、事業へのダメージを最小限に食い止めた工事が含まれています。

●既に展開している取組み

現在当社では、「安心・安全」を求める社会的ニーズにその技術で応えるため、既に以下のような取組みをしています。

◆堤防・護岸の背面に生じた空洞を電磁波技術を用いて調査(EM探査)する
「空洞探査システム」の実用化。

◆海底の三次元形状を高精度かつ迅速に把握するために開発した水中測量システム(ベルーガ)を活用して、津波等で流出した海底の障害物を避けて緊急時の海上物流ルートを確保するシステムの試験運用(共同)。

◆津波来襲時における係留船舶の挙動把握と対策案作成のための実験研究。


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◆地震時に空気で浮上する直立浮上式防波堤の開発(冬季風浪、台風時の高潮対策としても利用可能)(港湾空港技術研究所/大林組/新日本製鐵/三菱重工業との共同研究)。

●社会安全・防災チームの取組み

これらの基本的技術に加えて、このたび発足する「社会安全・防災チーム」では、当社の保有するハード・ソフト両面の技術・ノウハウを組み合わせ、「防災・減災・早期復旧」という見地から以下のような総合的企画提案を行ない、「自然災害に強い社会・企業」の実現に寄与していきます。

  • ◆高潮解析システム等を用いた港湾区域全体の津波シミュレーションを行い、想定波に対し港湾全域を護る防波堤、工場等の施設を護る堤防等の新設・補強等の提案・設計・施工。
  • ◆港湾・空港施設及びそのアクセスたる鉄道・道路等交通機能施設等の総合的な耐震解析や対津波・高潮診断を行い、非常時における臨海部都市圏の避難・物流ルート確保のための企画提案及び実施計画の策定。
  • ◆昭和40年代の高度成長期に建設されたものが多い港湾荷役施設の健全度診断を行ない、アセットマネジメントの観点からの維持管理計画の策定・調査・実施、及び防災の観点からの耐震補強計画の立案・設計・施工。
  • ◆臨海部に立地する製造業にとって、BCPの観点から非常時でも確保せねばならない生命線である、原料岸壁〜原料貯蔵施設〜加工設備〜製品貯蔵施設〜出荷岸壁という物流・加工ルートに沿った、地盤解析・液状化対策、構造物耐震診断・補強対策、等の提案・実施計画・施工。