2003年08月07日
■このニュースのポイント■
浚渫された土砂を活用するために、多種多様な工法が開発されています。代表的な工法として、セメント等の固化材を混合して固める工法、固化材と様々な添加物を加えて固める工法、高い圧力をかけて脱水し体積を減少する工法やこれらを組み合わせる工法が挙げられます。軽量混合処理土は、浚渫土や建設発生土にセメント等の固化材および気泡・発泡ビーズ等の軽量化材を添加・混合して作ります。一般的な地盤改良材に比べて密度が小さく、かつ高い強度を持っており、沈下や地震による液状化の心配がない地盤材料です。
軽量混合処理土の品質にとって気泡などの軽量化材の製造管理が重要です。従来は、その製造にあたって小規模な設備を複数台使用することで対応しており、大量急速施工に対応できる大容量の気泡製造装置が望まれていました。今回、大容量気泡製造機を新たに開発し、新しい気泡製造システムを構築しました。これにより大量急速施工時にも安定した品質の軽量混合処理土を製造できることを確認しています。この気泡製造機を組み込んだ軽量混合処理土製造システムによって、安定した品質の大量急速施工が可能になりました。
東亜建設工業はこのたび、軽量混合処理土の大量急速施工に必須の大容量気泡製造システムを開発しました。従来の気泡製造機の約8倍(1台当たり)の能力を有しており、この製造システムを組み込んだ軽量混合処理土製造システムを構築することで、安定した品質の大量急速施工が可能になりました。
軽量混合処理土は、浚渫土に固化材と気泡等の軽量化材を混ぜることで軽量性が得られます。岸壁、護岸などの港湾構造物への土圧を軽減できるため、これまでに構造物をスリム化できる地盤材料として活用されてきています。しかしながら、大量施工に対しては設備面の制約がありました。今回確立した技術をもとに開発した軽量混合処理土製造システムによって、軽量混合処理土の適用用途をさらに拡大することができます。
港湾施設の整備・維持管理においては、航路維持のため浚渫により土砂が発生しますが、近年では埋立地を建設する場所が限られてきており、発生する浚渫土の処分地確保は重大な課題となっています。こうしたなか、資源の有効活用や循環型社会の形成などのニーズを満たす技術への要請が強まっています。
運輸省港湾技術研究所(現:独立行政法人港湾空港技術研究所)と(財)沿岸開発技術研究センター及び民間企業により1992年から開発が始まったSGM軽量土工法は、軽量混合処理土工法の一つの技術であり、浚渫土の有効利用と建設費縮減を目的として、1995年から現在までに、神戸ポートアイランドをはじめ東京港、横浜港、東京国際空港(羽田空港)などで実績を積み重ねてきました。
地盤材料としての軽量混合処理土の製造には、これまでは既存の汎用機を組み合わせて施工しており、大規模工事に対応する大量急速施工は困難な状況にありました。
※SGM:Super Geo−Material
軽量混合処理土工法の施工は、
(1)浚渫・運搬、(2)解泥、(3)混練、(4)圧送・打設の4工程で構成されます。
今回新たに開発した大容量気泡製造機は、従来の製造機に大容量製造に対応した撹拌スペースを取り入れ、また、気泡材及び空気の量を高精度で管理できるシステムとしており、大型化しても均質な気泡を安定して大量に製造することを可能にしました。
大容量気泡製造システムの特長は、次のとおりです。
本システムの開発によって、軽量混合処理土の大量急速施工への対応が可能になりました。軽量混合処理土工法はすでに多くの実績がありますが、今回開発した大容量気泡製造システムを組み込んだ軽量混合処理土製造システムにより、一層の工期およびコストの縮減が可能となり、今後、本工法へのニーズは高まるものと期待されます。
当社は今後、大量急速施工が要求される大規模工事をはじめとして、本システムを積極的に提案していくとともに、海洋土木工事での施工能力強化に注力してまいります。