高潮・津波に伴う漂流物を捕捉する減災技術
High Tide and Tsunami Barrier
日本周辺の海底では、海洋プレートが陸のプレートの下に沈み込んで複雑な力がかかっており、世界でも有数の地震多発地帯と言われています。海溝型地震が発生すると、その規模によっては津波が発生し、日本沿岸地域に深刻な被害をもたらすこともあります。東日本大震災での甚大な津波被害は記憶に新しいところであり、被災者の心の復興はいまだ途上にありますが、東北地方太平洋沖地震から多くの教訓を学び、各地でハザードマップや地域防災計画の見直しが進められています。
今回の津波では、各地で、水塊による被害はもとより、それに伴う家屋、車、危険物タンクなどの漂流物による二次的な災害が被害を拡大させました。近い将来の発生が心配される東海、東南海・南海地震などへの備えに対して、改めて漂流物対策が大きな課題の一つとして議論されています。しかしながら、津波や高潮による浸水を止めようとすると、港を防潮堤などで囲むこととなり、海と市街が遮られ、本来の港町が持つ景観の価値が失われてしまいます。高潮・津波バリアーは、港町に新しい価値を生み出すべく考案された技術であり、常時の利用にも配慮した提案を可能とします。
津波の水塊は止められませんが、船舶、流木などの漂流物を捕捉し衝突などによる災害を防止する減災技術です。基本構造は支柱(鋼管)と捕捉スクリーン(ワイヤーロープ、ネット等)と基礎からなる単支柱構造で衝突エネルギーを各部材の変形、破壊により吸収するものです。
洪水、高潮時には、上部の屋根構造の一部がスライドし、水の侵入を防ぐ機構になっています。軽量の膜、板を止水壁として使うために軽量な構造となり、地盤改良の費用が軽減できます。
■「津波漂流物対策施設設計ガイドライン(H26年3月 沿岸技術研究センター)」が発刊されました。
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